大酒飲み女の「泥酔武勇伝」痛快!上司の自慢鞄に嘔吐

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   男のような女。そのたとえは昔からされてきているけど、どれもあまりいい褒め言葉ではないような気がする。ごくまれに称賛の意が込められているけど、たいていが軽蔑のまなざしが含まれている。

   最近、そんな男のような女性が活躍する小説を読んだ。「夜は短し歩けよ乙女」と「飲めば、都」。森見登美彦氏と北村薫氏の作品。両作品に共通するのは、登場人物(主人公)が度を越えた、常識を覆すうような大酒のみの女であるということ。「夜は~」に出て来るもうひとりの主人公、黒髪の乙女は大酒のみであるがゆえに様々なピンチを切り抜けていく。大酒のみ。それは黒髪の乙女にとっては特技なのである。本人はあまりそのことを自覚していないけれど、その酒量は読んでいるだけでこっちまで酔ってきそうなほど。

   「飲めば~」は雑誌編集者である主人公の都と周囲の女性たちが、酒を飲み過ぎては繰り返し起こす珍騒動。ホテルの廊下で裸のまま寝ていたり、上司のご自慢の鞄に嘔吐したりと、なかなか派手に飲み散らかす女性たちが登場する。

都合いい言い訳みつけて今夜も飲んだくれ

   作品に登場する女性たちが周りにいたら、楽しいかもしれないがちょっとやっかい。なんて言いながら、私も彼女達と同類のうわばみ女。明け方まで飲み続け、気がつけば次の日が終わろうとしているなんてことはザラ。同じ番組を手掛けている女性2人と最近はよく飲みに行くのだが、この2人もなかなかの肝臓の持ち主。ある時は番組の打ち合わせで昼間からワインをボトル2本あけ(別にワインの番組でもなく、もちろん自腹です)、またある時は午前様まで飲み続けて、成人女性の1日に必要なカロリー数をお酒であっさりクリアーしてみたり、明け方にラーメンを食べながら、最後の〆だからと再びビールに手をつける。

   とまぁ、隣の席の男性からも驚かれてばかりのノンダクレ女たち。そしてそんな飲み方をしてしまうので、財布やケータイをどこかになくす、守っておかなくてはいけなかっものをなくすこともしばしば。自分自身をなくしているのだから、それもしょうがない。そして、また自分の失敗談を肴に飲んでしまう女達。それぞれどんな失敗をやらかしたのかを聞いてみると、「翌日の生放送をすっとばかした」「番組出演者打ち合わせに1時間遅れる」「二日酔い過ぎて電車に乗れずにタクシー移動で書類を忘れる」などなど、数々の悲惨な話が出て来る。

   こんなヒドイ飲み方をしてしまうのは、それぞれが抱えているストレスや不満、不安からなのよ~と、それぞれが都合のいいイイワケを見つけては、盃を酌み交わす。まさに悪循環だ。そんな私達を見て男性は言う。

「もはや男のような女じゃない!ありゃ男を越えた女だ」

   当然、そこには称賛の意は含まれていない。

フラフラになりながら覚めてる「女なのにみっともない」

   ところで、冒頭の2作品の著者は男性。男のような飲み方をする女のディテールが鮮やかに描きだされている。それにしても、なぜあの醜いであろう姿だけでなく、そこにある心情まで見透かされているのだろう。フラフラしながらも、「女なのにみっともない」とどこか覚醒しているあの感覚が見事に言い当てられている。女性が書いたのではないかと思ってしまうほどだ。

   男性に同情してもらいたいわけではない。ただ、大酒のみの女の姿を上記作品のように優しく見ている人もいるのだと知ることができただけでもうれしい。男のような女のアッパレな飲み姿を読み返しながら、今夜もまた晩酌でもしようかと思う。

モジョっこ

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