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厳重意見書突きつけられた日テレ「やらせ現場」

   NHKと民放各社で作る放送倫理・番組向上機構(BPO)は、日本テレビ系が今年1月に放送した「news every.サタデー」(土曜夕方5時)のペットビジネスに関する放送が『やらせ』だったと意見書を公表したが、意見書には「やらせの現場」が詳しく報告されている。

取材先の社員「客」なりすまし

   この番組を作ったのは制作会社から派遣されているディレクター(31)で、 ペットサロンやペット保険の繁盛ぶりを紹介し、犬の飼い主に「本当に助かります」などと語らせていたのだが、この客は実は取材先の社員だった。ディレクターははじめペットサロンとペット保険会社に利用客の声を取材したいので紹介してくれるよう頼んだが、「社員以外は紹介できない」と断られ、「社員であっても利用してれば利用者であることに違いはない」と受け入れた。

   取材当日は同行のカメラマンが取材先の動物病院と「客」の自宅が車で1時間もかかることを訝り、ディレクターに疑問をぶつけたが、「ペット保険を扱っている動物病院はそれほど多くないので」不思議はないとトボけられてしまう。ロケバスにはディレクター、カメラマンの他に、ペット保険会社の広報担当者2人も乗っていたが、撮影後に客とされた飼い主も乗り込んできて、広報社員と親しげに保険会社まで乗ってきた。カメラマンは飼い主が会社に入るようなら関係者に違いないと目を配っていたが、ちょっと目を離した隙に見失ってしまったという。

同行カメラマン「何かおかしい」

   その後、カメラマンはディレクターに「会社と飼い主の女性の関係を確かめた方がいい」と助言したが、他のスタッフにこのことは報告しなかった。

   番組は客とされた社員がペットに関する悩みを話したり、動物病院に連れて行って診療費の領収書を見せたりと巧妙な演出で、局内では「よく取材してある」とほめられていた。ところが、「登場した飼い主の客は社員だ」というメールが日テレに舞い込む。慌てた上司が確認すると、客のうち2人が取材先の社員だった。ディレクターは放送日が迫っていて、「良いことではない」と考えたがやってしまったと釈明したという。

   日本テレビは2009年にも「真相報道 バンキシャ!」(日曜よる6時)のやらせが発覚、BPOは再発防止を勧告していただけに、今回のやらせを日テレの体質に関わる「深刻な問題」としている。最近は各テレビ局とも制作費節減でチェック態勢が甘くなっていることが背景にありそうだ。(テレビウォッチ編集部)