達者な井上真央、美しい若尾文子…もったいない!ドラマ細部の無頓着

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「おひさま 第1回~第50回」その1(NHK)2011年5月31日8時~

   安曇野の風景が綺麗だ。主演の井上真央がまことに芸達者である。語りの若尾文子の臈長(ろうたけ)た美しさが見た目に心地よい。ただし、なんで蕎麦屋の元女将がいつも自宅で和服ばかり着ているのかね。見る楽しみは色々あり物語も優しさに満ちているが、昭和10年代の細部に疑問点が多く、この時代を生きていた人達は文句を言っている。今日明日と2回にわたり取り上げる特別バージョン。
   まず、戦前に会話で女のことを女性とは言わなかった。「おんな」とか「婦人」である。昭和30年代でも使わなかった。「女学生」や「女子学生」とはいったが、セーラー服の陽子(井上真央)たちが乾杯しながら「女性たちよ」はあり得ない。育子の男言葉もあり得ない。昭和10年代の地方の女学校には選ばれた階層の子女が通えたので育ちの悪い娘はいない。同級生を名前で呼び捨てにもしない。苗字を呼び、必ず「さん」付け、不良でも男言葉は使わなかった。
   子爵夫人の祖母が「裁縫が苦手だった」というくだりがあったが、戦前の良家の婦人が「さいほう」とは絶対に言わない。「お裁縫」である。脚本の岡田惠和の周辺には良家の子女がいないのであるな。陽子が女学校に通う時に乗った自転車も問題である。戦後でも、地方では自転車は男乗りばかりで、婦人乗りも子供用も手に入らず、背丈の足りない子供は「三角乗り」と称して足を車体軸の下から入れて不自由な姿勢で漕いだのである。この項、明日につづく。

(黄蘭)

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