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大震災で変わった「幸せの基準」-新しい幸福度なにで測るか?

   東日本大震災をきっかけに、被災者でなくても、価値観や人生観が大きく変わったという人が少なくない。キャスターの国谷裕子はこう話しながら番組をスタートさせた。

「社会全体を包んでいた閉塞感。格差の拡大や社会の分断。働いても豊かさを実感できない社会構造。そんな矢先に、今回の大震災が起きました。
これまで社会の豊かさを測る基準とされてきたGDPなど経済指標では測れない心の豊かさ。この幸せというのをどうやって測るのか。じつは今、世界各国で国民の幸福度を測る新しい指標づくりが始まっています」

「余暇のフランス」「緑のタイ」「伝統文化のブータン」

   余暇を最も大切にすることが幸せにつながるとするフランス、より多くの緑に囲まれることで幸せを感じるタイ、伝統文化に触れながら暮らすことで幸福感に包まれるとするブータンなどが紹介される。

   大震災直後に内閣府研究会が行ったアンケートにおもしろい結果が出た。大震災であらためて家族や友人、知人との繋がりの大切さを思い知らされたという絆重視の傾向が浮かび上がったのだ。

   東日本大震災の被災地でさまざまなボランティア活動を展開している糸井重里(コピーライター)がゲストとして出演し、「誇りだとか自己実現だとか、いま考えると笑ってしまうような底の浅いものを幸せだと僕たちは錯覚していた」と話す。

   国谷も「被災地にボランティアで入ると、行くときよりもより元気になって帰って来ることができる」という。

自分はこれをやりたいからやるという幸せ

   糸井「考えて見ると、これまでの日本人の幸福度は、相互不信がそのベースにあったのではないだろうか。お前がそこまでやるなら俺はそれ以上にという。これからは何が幸せかを考えるプロセスが大事。何をやっても、自分はこれをやりたいからやるという動機の強さ。そして、やり遂げたときの周囲からの『良かったね』の一言に幸せを感じる時代が来ると思う」

   多くを所有することによる満足感、出世達成感、多消費などが、大地震・大津波の前には何の意味も力もないことをまざまざと見せつけた東日本大震災。被災地ではなかった首都圏でも、3月11日に感じた不安と家族・友人への思い、自分の頼りなさとそれに向き合う事の大切さ。日本は間違いなく少しずつ変わりはじめた。

NHKクローズアップ現代(2011年6月2日放送「幸せのモノサシ~指標づくりの模索~」)

ナオジン