「福島原発80キロ避難」の思惑…エッ!米国の思いやりだった!?

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   福島原発の対応に、宗主国、いや同盟国の米国が、不信感を抱いている。それどころか、激怒している――。そんな話はあちらこちらで漏れ聞こえていたが、NHKでは日本側の関係者への取材を通して、その具体的なやりとりを入手したという。とくに11-22日の間に、日米の激しい応酬があったそうだ。

   それを聞くと、米国は聞きしに勝る危機感と押しの強さである。原発事故の情報を持ってこず、対応のやる気の見えない日本政府に不満を持ち、原発事故に積極的に、深く介入しようとしていた感じがうかがえる。

   日本側は「情報不足」の点につき、「持ってる情報は共有していた。しかし当時、官邸に上がってくる情報が不十分だった」(福山官房副長官)などと弁明するが、部下が無能な理由などは、問題を解決するのになんの役にも立たない。

検討されていた「日本見捨てろ」

   ルース駐日大使は「オバマ大統領の指示」として、「米側の専門家を日本の意志決定の場に(オブザーバーとして)同席」させるよう迫ったという。上司が事態を正確に把握し、日本をよりよくリアルタイムに助けてあげるためである。しかし日本側が難色を示し、結局は実現しなかったという。

   日本でも話題になった原発80km圏内の米国人避難。用心して、範囲を大きく取った――という見方もあるが、キャンベル国務次官補は藤崎駐米大使にこんなことを言っていた。「むしろ楽観的に考えた場合の距離だ。最悪の場合には日本の大部分になる」

   ライシャワー東アジア研究所のケント・カルダー所長の見方では、「80km」は情報の少なさへの不満を表すものであると同時に、日本に配慮したものだ。なんと、日本が受けるダメージやパニックを考慮して、「80km」にとどめてくれたんだそうな。もしも同盟国でなければ、「総員国外退去」にでもなっていたのだろうか。

パニック考慮して「むしろ楽観的範囲」

   ルース大使は、番組の取材申し込みを「個別の交渉についてはコメントできない」とお断りしつつ、文書を送ってきたという。そこでは初期の段階で、日本側の情報の出し方に不満を持ったことを示唆しつつ、「日米関係の底力があったからこそ、困難な局面で日米が緊密に連携し、多くの複雑な課題を乗り切れた。そして、日米のパートナーシップがこれまでよりさらに強固になったことを誇りに思う」などと、日米の美しい友情を謳い上げた。

   日本人感情に多大なご配慮をいただき、感謝感激といったところだが、水面下の政治的会談では、きっといまも米国側が原発対応の遅さに不満を表明し、アレをやれ、コレをするなと、こづき回しているのだろう。それもやむなし――かもしれないが。

NHKクローズアップ現代(2011年6月14日放送「原発事故と日米関係」)
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