2024年 4月 26日 (金)

離ればなれ兄弟「まえだまえだ」―家族再会の奇跡起こるか

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(C)2011「奇跡」製作委員会
(C)2011「奇跡」製作委員会

奇跡>両親の離婚によって、鹿児島と福岡で離ればなれに暮らす兄弟が、家族再生の「奇跡」を信じて九州新幹線開通日の1番列車がすれ違う場所へと冒険に出る。

   主演の兄弟役には、実の兄弟でもあるお笑いコンビ「まえだまえだ」。音楽で成功する夢を捨て切れない父役にオダギリジョー、実家に帰りちょっとやつれぎみの母役に大塚寧々、そのほか子どもらを取り巻く大人たちに、阿部寛、長澤まさみ、樹木希林、橋爪功、原田芳雄、夏川結衣などそうそうたる役者が顔を揃えている。

   監督は『誰も知らない』(2004年)、『歩いても歩いても』(08年)、『空気人形』(09年)など、数々の話題作を世に送り出してきた是枝裕和である。

九州新幹線開通1番列車すれ違いを見に冒険の旅

   親の都合で、「(兄いわく)意味わからん」環境の中で生きることを余儀なくされてしまった兄と弟。子は親を選べない。社会の中の弱者という視点で子どもたちを眺める姿勢は、育児放棄をテーマにした『誰も知らない』と同じだ。

   しかし、実際の事件をもとにした前作では、裏社会で生きる子どもたちの姿が痛々しく衝撃的だったのに対し、この映画では一転して前向きなエネルギーが終始漂う。すれ違う1番列車を見ても奇跡は起こらないと知っても、子どもたちの表情はどこか晴れやかだ。

   彼らがまた一歩大人へと近づいたことを予感させる終盤のくだりは、やや間のびした印象も受けたが(もう5分短くてもよかった!)、そこに監督の心情が反映されているのだろう。

   是枝作品お得意の、セリフを強いず、子どもたちの素のままの姿を生かしたドキュメンタリータッチの技法は今回も健在。子どもたちの無邪気な表情は、九州ののどかな景色とあいまってほほえましい。

   映画史上に残る名画は間違いなく前作。しかし、本作は時間をおいてまた観たいと思わせる明るさと希望に満ち溢れている。

バード

オススメ度:☆☆☆☆
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