2024年 4月 19日 (金)

前田兄弟「シナリオ見せない演技」もっと見たい…自然な会話としぐさ

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(C)2011「奇跡」製作委員会
(C)2011「奇跡」製作委員会

   <奇跡>「誰も知らない」「空気人形」の是枝裕和監督の最新作は、人気芸人「まえだまえだ」の2人を主演に迎えた心温まる作品。代表作「歩いても歩いても」のキャストが再結集し、脇を固めた豪華俳優陣にも注目だ。

開通一番列車がすれ違うとき奇跡は起こるか

   鹿児島の小学校に通う6年生の航一は、親の離婚が原因で家族4人が離れ離れになっていることを寂しく思っていた。航一(前田航基)は母親の地元の鹿児島で母と祖父母と暮らし、仲の良い弟龍之介(前田旺志郎)は福岡で父と2人暮らしをしている。

   半年ほどその生活が続いたころ、航一はある噂を耳にする。九州新幹線開通の日、博多から南下する「つばめ」と鹿児島から北上する「さくら」のそれぞれ一番列車がすれ違うとき、奇跡が起こる。

   航一は噂を信じ、奇跡を起こすために、友だちと列車がすれ違う熊本までの旅を計画する。航一の願いはもちろん家族4人でまた一緒に暮らすこと。しかし、母と父との争いに懲りていた龍之介は、そんな奇跡は望んでいなかった。

   兄弟やその家族、友人、それぞれの願うそれぞれの奇跡。映画のクライマックスで一番列車がすれ違うとき、奇跡は起こるのか。

多すぎるエピソードの羅列で散漫な印象

   九州新幹線の全面開通を記念して、JR九州とJR東日本企画が企画した映画である。是枝監督が鉄道好きということもあり、メガホンをとることとなった。いわゆる企画モノの映画にしては、それほどの制約はなかったようで、無理にPRに繋げているといった印象はなく好感をもてる。

   主演の前田兄弟含む子どもたちの演技がとくに光っている。どんな奇跡が起こって欲しいかを話し合うシーンは、子どもたちのありのままの姿を切り取ったようにリアルな言葉、仕草だ。「誰も知らない」でも用いられた、子役にはシナリオを見せないという演出法が成功している。

   前田兄弟の演技が光っているということもあるが、映画の構成としても奇跡を願う兄弟の姿をもっと見たかった。友人や家族、さらに周りの人々のエピソードの羅列は、せっかくのテーマをぼやけさせてしまった印象だ。映画の中で、かるかんという鹿児島の菓子が出てくる。その味を航一は「ぼんやりした味やなぁ」と言う。まさに映画全体もそんな感じ。ただ、この「ぼんやり」を「ほんのり」といって好むかは、かるかん同様、それぞれなのかもしれない。

野崎芳史

おススメ度☆☆

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