両親・肉親失った子供2万人以上―大震災の過酷体験綴った作文

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   東北・北関東を襲った大地震とそれに続く津波で、両親や肉親を失った子供は2万人以上といわれる。「クローズアップ現代」は被災した子供たち80人が綴った作文を取り上げた。

   国谷裕子キャスターは「肉親や両親、あるいは親しかった友達を失いながらも、避難所で配膳の手伝いをするなど健気な子供たちが多くいます。こうした子供たちの姿を見て、大人が逆に励まされている。この子供たちの将来をどう作っていってあげるのか、私たち大人が問われているのではないでしょうか」と語り、フリージャーナリストが呼びかけた震災当日の体験、想いを綴った作文を紹介した。

「お父さんが帰ってこない」

   紹介された作文は率直な言葉で、過酷な体験が語られている。宮城・石巻の小学校6年生の児童は、救援作業に従事した自衛隊員に「暖かいお風呂をありがとう。忙しいのに遊んでくれたお巡りさん、ありがとう」と記していた。同じ石巻市で自宅が半壊した鈴木智幸さん(小学6年生)は、「地震直後にお爺ちゃんが迎えに来てくれた。家に帰ると津波が来た。それで、お父さんが会社の様子を見てくると出かけ、帰ってこない」と話すが、その表情は決して暗くない。智幸さんの父親は社会人野球の選手で、お父さんを超える野球選手になり、いずれは楽天イーグルスに入団したいと考えている。

   ゲストの重松清(作家)はこう語る。

「被災した子供たちに作文を書かせるのは、過酷な体験をした子供たちにもう1度辛い思いをさせるという見方もあると思う。でも、ここで書いておきたいと思っている子供たちがいるはず。そういう子供たちのために、大人は自由に表現できる場を提供するべきだ」

大人は彼らに何ができるか

   国谷は重松に聞く。

「寄稿された作文の中には、大人がドキッとするような表現もあります。また、書きたくないという子供たちもいました。どう対応すればいいんでしょうか」

   重松「被災した子供たちを被災児だとひとくくりで見ないことです。それぞれが過酷な体験をして、さまざまな辛いものを見ているわけです。だから、今は書きたくないという思いを持っている子もたくさんいるでしょう。でも、いつかは書きたい、書いておかなくてはと思う時期が来るでしょう。その時を待つ。ゆっくりと自分の言葉で書ける環境を整えておく。それが私たち大人の役割だと思います」

   今でも母親が行方不明のなか、作文を寄せた八幡千代さんは「お母さんを必ず見つけます。そして、お父さんと3人でまた楽しく暮らします」と原稿用紙に万感の思いを込めた。子どもたちが作文に書いたこと、さらには行間を読む力を大人や社会が持ち得るかどうか、そこが問われている。

NHKクローズアップ現代(2011年6月23日放送「子どもたちが綴(つづ)った大震災」)

ナオジン

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