2018年 7月 19日 (木)

「節電熱中症」対策-我慢しない、みんなでやる、かかりにくい身体と食事

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   梅雨は明けていないというのに、各地で記録的な暑さが続く。そんななかで福島原発事故のあおりで37年ぶりの電力使用制限令が発動され、企業、家庭とも「15%節電」に大わらわだ。心配なのが熱中症である。

   昨年の熱中症による死者は過去50年間で最も多い1700人、梅雨明け以後に集中した。8割が65歳以上で、45・6%が自宅や庭で倒れた。今年はすでに3700人が病院に搬送(昨年同期の2倍)され、10人が亡くなっている。

危険リスク「認知症」「1人暮らし」「高齢」「心臓病」「糖尿病」

   先月23日(2011年6月)、埼玉・熊谷市で63歳の女性が熱中症になった原因は、前夜の過ごし方だった。前日は最高気温34度を記録していたが、節電でエアコンを使わず、防犯から窓も閉め切ったため、寝ている間に脱水症状になった。いわば「節電熱中症」だ。

   東京・大田区の大田病院は、「認知症」「1人暮らし」「高齢」などの条件から熱中症リスクの高い人をピックアップして訪問診療をしている。急に気温があがった24日、大田病院の細田悟医師は93歳の1人暮らしの女性を訪ねた。

   女性はなんと32度の部屋でこたつで過ごしていた。エアコンもつけていなかった。高齢者が室内で熱中症になる典型的な状況だっ た。医師は28度の設定でエアコンをつけた。別の96歳の女性は娘と同居しているのでリスクは低いと見ていたのだが、違った。室温31度の中でエアコンを控えていたのは娘の方だった。

「被災者に申しわけない」

   予想を超えた節電意識だ。細田医師は「正しい知識を持たせないと」という。使用電力のピークは午後1時から3時。節電15%はここで必要なのだが、夜は節電しなくて大丈夫。昼間の暑いときは氷で身体を冷やすようにとアドバイスしている。

   三宅康史・昭和大准教授は、「弱者」には高齢者のほか、心臓病、糖尿病などの持病を持っている人も含まれるという。

「高齢者は暑さを感じないだけでなく、汗もかかない。首から上は汗をかくが、身体は成人の4分の3。 もともと水分も少ない。弱者は我慢してはいけない。我慢は他の人がするもの」

適度の汗かきと牛乳・ヨーグルト・チーズ

   埼玉・上尾市の尾山台団地(1800世帯)は団地全体で「15%節電」に取り組んでいる。伊香賀俊治・慶大教授は 団地最上階の5階の室温を測定した。屋上と接する天井の温度は32度。ひとつ下の4階は30度だった。そこで、「傾斜節電」を勧めた。最上階とビルの端の部屋のエアコンの設定温度を2度低くする。これで全室の温度が同じなった。窓にすだれをかける家も多い。ピーク時に集 会所で映画を上映したりもする。15世帯が集会所に集まると、使用電力を抑えられる。

   松本・信州大の能勢博教授は体温調節機能から熱中症に挑む。適度の運動の あとに、牛乳などのタンパク質を摂ると血液の量が増えて、汗をかきやすくなる。熱中症になりにくい身体を作ろうというのだ。65歳の男性の10日間のテストでは、血液量が5%増え、汗をかき始める時間が短かくなった。能勢教授は高齢者を中心に、早歩きとゆっくり歩行を3分ごとに繰り返す運動と、牛乳、ヨーグルト、チーズなどの摂取を勧めている。「無理なく汗ばむ程度で十分」という。

   節電、節電でビルも地下鉄も蒸し暑くなった。国谷裕子キャスターは「弱者だけではなく、 暑さの中を働いている人たちが身体を冷やすところがなくなった」という。そうかもしれない。若い人には我慢してもらって、弱者は窓を開け放って扇風機で風を通すか。夜はみな遠慮せずにクールダウン。これでいこう。そういえば、夜の公園で涼んでいる人が増えた。

NHKクローズアップ現代(2011年7月4日放送「どう防ぐ『節電熱中症』」)

ヤンヤン

文   ヤンヤン
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