アフリカ・南スーダン独立―石油利権からみ米中駆け引き

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   南北に分かれ続いた内戦を経て南部スーダンが9日(2011年7)分離・独立した。国名も「南スーダン共和国」と決まり、国歌もできた。だが、北部との内戦の火ダネは今もくすぶり続けたままで、さらに国内では新たな部族間の対立が表面化し衝突も起きている。

投票で「独立」他の国・地域にも波及

   アラブ系イスラム教徒中心の北部とアフリカ系キスト教徒中心の南部に分かれ、民族的、宗教的対立から衝突を繰り返してきたスーダンでは、1983年に北部中央政府が南部へイスラム法を強制したことから内戦が勃発。包括和平合意が結ばれる05年まで続き、200万人以上の犠牲者に加え、多くの人が国を追われた。

   今年1月に南部の分離・独立の是非を問う住民投票が行われ、99%が独立を支持して南部スーダンの独立が決まった。ただ、独立といっても、きちんとした政府組織があるわけでもなさそう。北部と和平合意をした武装組織(SPLA)が政府の代わりをしているのだという。

   人口800万人。電気、水道といったインフラはほとんど整備されておらず、日本の2倍近くある国土で舗装された道路は60キロだけだ。

   それでも国づくりへ向けた国民の士気が高まっているのは、今回の独立が住民自らの意思で決めたという心意気だ。民族間、部族間で対立し紛争を抱えるアフリカでは、住民の意思で独立を決めたのは象徴的な出来事で、その国づくりは今後、他の国や地域に大きな影響を与えると見られている。

日本の「地道な援助」どう評価されるか

   インフラ整備などのほかに、火タネも山積している。1つは南部に集中する石油資源。産業のない南スーダンの唯一の財源だが、石油利権を手放したくない北部との間で争いがくすぶり続けている。これまでは、採掘された原油を北部に送り、北部からは精製された石油製品の供給を受けていたが、この春に北部バシール政権に供給をトップされてしまった。

   さらに、5月にはまだ帰属が決まっていない南北境界線にあるアビエイ地区の油田地帯に北部軍が侵攻し武力衝突に発展、7万人以上の住民が避難を強いられた。いずれも独立する南部を牽制し、石油収入の分配で優位に立というとする北部の狙いがあると見られている。

   一方、多くの部族で成り立っている新国家だけに、部族間の対立が表面化し、一部で衝突も起きているという。軍や政府の要職を占める多数派の部族に対し、他の部族が反発し始めたというのだ。

   「新たな火ダネも抱え、今後の国づくりの課題は?」と国谷裕子キャスターが東大大学院教授の藤原帰一に聞いた。

「これまで北という共通の敵を相手に団結できた。これから一つの政府をつくるとなると主導権争いがどうしても出てくる。
その中で、中国が原油確保で北の政府に接近、アメリカもイスラム急進派への警戒から南の独立政府に急接近している。両国が北との火ダネを収束する役割を果たすことができるかが目下の関心事だ」

   日本との関係はどうなのか。藤原教授は「日本も北と南に経済援助をしており重要な国だ。南では中心的ではないところでの地道な支援が成果を上げている」という。

   どこまで評価されるか分からないが、得意としてきた経済援助で繋ぎをとろうというわけか…。

NHKクローズアップ現代(2011年7月6日放送「独立・南スーダン 問われる国づくり」)

モンブラン

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