大震災被災企業が注目する「市民ファンド」―個人が直接融資

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   東日本大震災で壊滅状態に陥った地場産業の再建に大きく立ちはだかっているのが、再建資金の調達難だ。キャスターの森本健成は「国や日銀は融資枠を拡大してこうした企業の救済に動こうとしていますが、現場の窓口になる金融機関は貸し倒れを恐れて、融資には慎重になっています」と語る。そこで、「クローズアップ現代」が注目したのが、既存の金融機関の対応を乗り越えて、被災地の企業を支援しようと、市民から少額の投資を募る市民ファンドだ。

息吹き返した気仙沼のフカヒレ会社

   全国的に有名な宮城県・気仙沼のフカヒレ販売会社・石渡商店は、大津波によって工場が壊滅、石渡久師社長は廃業も考えた。途方に暮れているとき、工場の瓦礫の中から無事なフカヒレ用の製造釜を発見、会社再生を決意した。さっそく都市銀行など大手金融機関や地元の信用金庫などに再建資金の融資を申請したが、いずれも叶わなかった。

   再び落ち込んでいるとき、石渡社長がネットで見つけたのがベンチャー企業が行っている被災地ファンドだった。融資を申請すると、ファンドを運営している会社が石渡商店の経営基盤と将来性審査し、有望と結論を出し、個人投資家へ出資の呼びかけが行われた。投資家一人一人の出資額は少額だが、塵も積もれば山となるで、石渡商店はこれで息を吹き返した。石渡社長はこう話す。

「投資をお願いするための説明会を開催しました。そこで投資家の皆さんの顔が見えた、出会えた。頑張れという気持ちを感じられた」

投資詐欺のリスク大丈夫か?

   番組ゲストの藤沢久美さん(ソフィアバンク副代表)は、「こうした市民ファンドは、日本の金融革命のカギとなる可能性を秘めています。これまでの金融機関による投資は、投資家が出資をしても、そのお金がどこに行くのか見えませんでした。でも、市民ファンドなら相手が見える、その思いを感じることができる。これまでにない投資・融資のシステムです」と言う。

   森本「たしかに、融資審査はこれまでの金融機関より時間はかからなくて、融資を受ける方はいいかもしれませんが、投資をする方はむやみやたらに出資をするのはリスクもあります。詐欺的投資ファンド会社が出てくるかもしれない」

   藤沢「金融商品取引法という法律があり、金融の取り引きに関わる企業は必ず登録が義務付けられています。登録金融機関は金融庁のホームページなどで公開されているので、そこでチェックができるようになっています」

   市民ファンドは出資をするだけでなく、投資に対する配当として、商品や色々なサービスを受け取ることができる。また、ブログやツイッターなどを通して、経営者やその企業を身近に感じながら企業再建に参加している実感がある。投資分野も農業や林業、サッカーなどにも広がりを見せているという。ただ、市民経済が貧困な日本では、1400兆円もの個人資産の新しい活用手段となるまでには、まだまだ道は遠いだろう。

NHKクローズアップ現代(2011年7月21日放送「“市民ファンド”が被災地を支える」)

文・ナオジン

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