北川景子「美人ちゃん」だけじゃなかった…平凡でしたたか嫁好演

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「終戦記念スペシャル この世界の片隅に」(日本テレビ)2011年8月5日21時~

   マンガが原作だが、脚本(浅野妙子)が平明でしみじみとしたドラマに仕上がった。戦時下の軍港・呉市の描写としては甘いところがあったが、最後まで共感する物語として見られた。広島の商家の娘、北條すず(北川景子)は元カレの哲(速水もこみち)ではなく、見染められた呉市の海軍録事である北條周作(小出恵介)に嫁ぐ。
   夫はかつて遊郭に売られたリン(優香)という女と関係があった。外出帰りに方向音痴のすずは迷いこんだ遊郭でリンと偶然出会って仲良くなる。また、婚家には離縁して子連れで戻ってきたきつい性格の小姑、義姉(りょう)がいて色々言われるが、本来おおらかな性格のすずは婚家の働き者としてストレスも溜めずに生きてゆく。
   哲の戦死や実家がある広島への原爆投下、義姉の娘・晴美を連れていて爆発の犠牲となり、姪は死に自分も右手を失うなど、次々に起こる過酷な戦時下の悲劇にもめげず、優しい夫と共に戦後まで生き延びる。北川景子が、これまでは「美人ちゃん」だけの女優であったが、なかなかどうして市井の、平凡だが結構したたかな普通の嫁ぶりをくっきりと演じた。確かに当時田舎にも美人嫁はいたのだ。
   今や第2次大戦当時のことは若い人たちにとって時代劇の世界になっている。こうした彼らと同世代の俳優たちによる戦時下の物語は、記録では伝えきれない強い印象をもたらし、意義のあるドラマになる。しつこく事実を掘り起こしてドラマを作ってもらいたい。

(黄蘭)

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