2024年 4月 20日 (土)

やっぱり小沢一郎で決まる「ポスト菅」誰がなっても軽量短命

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   8月15日の夜、新宿の「ロフト・プラスワン」で友人が開催した終戦記念日シンポジウムに出演した。開口一番、友人が「新聞は死んだ」といった。この日は新聞休刊日であった。私が知る限り、この日に新聞が休んだことなどなかったはずだ。新聞を休刊することが悪いというのではない。なぜこの日にしたのか。東日本大震災に原発事故が起こり、「第2の敗戦」とまでいわれるいま、66年前の時と比べて論ずることはいくらでもあるはずだ。それとも新聞にとっては、もはや戦争は終わってしまった過去の些事に過ぎないのだろうか。こうした新聞の「役割放棄」を、亡きノンフィクション作家・本田靖春が見たら何というだろう。

   シンポジウムで私は、第1と第2の敗戦には決定的な違いがあると前置きして、本田の「戦後―美空ひばりとその時代」(講談社)から、以下のところを読み上げた。

   「人びとは飢えていた。私の場合は、住む家がなく、納屋の暮らしから戦後の生活が始まった。着る物がなく、履く靴がなく、鞄がなく、教科書がなく、エンピツがなく、ノートもなかった。

   しかし、人びとは桎梏から解放されて自由であった。新しい社会を建設する希望に満ちていた。そうした可能性の時代の子として美空ひばりはいた」

   第1と第2の決定的な違いは「希望」である。貧しく食べるものも着る物も住むところはなくとも、桎梏から解放された青い空がそこにはあった。今日より必ず明日はよくなるという確信が多くの国民にはあったのだ。

   3・11以降はどうだろう。希望はあるだろうか。残念ながらどこを見渡しても、いまのところ見いだすことはできそうもない。それでも日本人は立ち上がるとは思うが、それは、これまでのように無駄に無駄を重ねた虚栄の豊かさに回帰するものであってはならない。原発を止めて再生可能エネルギーにすればいいという単純な話ではない。日本人が歴史上初めて、根底から価値観の転換を迫られているのだ。そんな話をしたが、どれだけ聞き手に伝わったのか心許ないが。

最終目標は裁判無罪、党員資格奪還、そして総理

   さて、今週は各誌こぞってポスト菅について特集を組んでいる。いまのところ本命・野田佳彦財務相(54)、対抗・鹿野道彦農水相(69)らしいが、それ以外にも海江田万里経済産業相が名乗りを上げ、多士済々ではなく、ドングリの背比べである。

   野田は大連立を掲げ、財務省が目論む大増税に踏み切る可能性が高い。「週刊文春」によると、野田総理になれば自民党の谷垣禎一総裁を副総理に迎え、公明党の山口那津男代表は厚労相に、注目される環境相に小池百合子総務会長を据える可能性があるという。このままスンナリ野田総理が実現するはずはないが、誰になっても軽量短命内閣に違いない。「あーあ、民主党 こんな奴らが総理かよ」(文春)、「ショボすぎる『新総理・野田佳彦』」(週刊現代)という見出しが当をえている。

   そのうえ、またぞろこの男が次期総理のキーマンになり、代表選に名乗りを上げた候補たちは次々に頭を下げに行っているという。小沢一郎である。160人といわれる手勢をもつが、自派には適当なタマがいないため、今回は自分のいうことを聞く候補を物色しているといわれる。当初、小沢は海江田を買っていたようだが、大臣の辞めどきを誤り、その上、委員会で泣き崩れて男を下げてしまったために支持を取り下げられた。だれを支持するかは直前まで決めない方針らしいが、「週刊新潮」は小沢の狙いは来年の代表選だと読む。刑事裁判で無罪になり、党員資格を奪還して、代表そして総理を目指すというのである。

「週刊ポスト」「週刊朝日」の小沢待望論

   それでは遅い、いますぐに小沢を総理にしろと大声で主張するのは「週刊ポスト」である。「『脱小沢』暗黒代表選全内幕」では、小沢のブレーンが小沢の胸の内をこう推測している。

「小沢さんの目的は党全体をもう一度、政権交代の初心に立ち返らせることだ。野田さんにも側近を通じて『増税路線を凍結し、マニフェストの原点に戻るなら支援も可能だ』と再三、説得してきた。結局、野田さんは踏み切れなかったが、執行部派の有力候補である前原誠司氏が増税慎重論に転じたのは小沢氏の意図を理解したからだ」

   日本政治ウオッチャーのヴァン・ウォルフレン=アムステルダム大学教授も、「週刊朝日」(榊原英資との対談)で、いまこそ小沢が必要なのだと援護射撃をしている。彼は1993年の政変以来18年の長きにわたって続けられてきた反小沢キャンペーンは、悪意に満ちアンフェアだと断じる。そして、日本の政治を官僚の手から取り戻すという民主党が掲げた改革は、菅や前原、岡田のような官僚の顔色を窺う政治家ではできはしない。それができるのは小沢しかいないのだし、自らも自覚すべきだとエールを送る。その上こうまでいい切る。

「小沢氏が党内で力を発揮する体制をつくるために、民主党の議員たちには、告訴を取り下げさせて小沢氏の裁判をやめさせる行動を取るべきだと提案したい」

   ウォルフレンは小沢が彼にこういったと話している。

「現在の総無責任状態が続くと、日本には永久に民主主義が根付かない」

   長年の小沢ウオッチャーである私は、小沢から民主主義を説かれるほどまでにこの国は堕してしまったのかと嘆息するしかないが、さりとて野田や鹿野が総理として適任だとはとても思えない。政治の混迷は。まだまだ続くようだ。

金本知憲「素人投資失敗」で野球人生危機

   新潮と文春が阪神タイガースの人気選手・金本知憲(43)のスキャンダルを追いかけている。両誌によれば、発端は8月10日(2011年)に金本と親しかった投資会社(文春はファイナンシャル・アドバイザーになっている)の社長から「恐喝罪」で告訴されたことである。球界の高額所得者である金本は、以前から投資への関心が強かったようだ。07年に2人で投資ファンド会社を設立し、金本はそこへ1億3000万円出資した。しかし1年もたたずに金本はやめると言い出し、自分の出資分を「貸金だったことにしろ」と迫ったのだそうだ。

   そして09年1月27日、社長を呼び出し、友人と一緒に「金銭準消費貸借契約書」を書けと恫喝しながら、こうした暴言を吐いたそうである。

「だてに夜、カネを使っているわけじゃねえ。山口組がすぐにでも行くぞ!」「お前を家族ごと抹殺してやる」

   実印まで押した社長に、今度はヨーロッパの銀行への投資で390万ドルの損失を出したのは紹介者である社長に責任があると、損失分の賠償を催告してきた。そこで耐えかねた彼が、刑事告訴に踏み切ったのだ。以前、金本が芦屋に購入したばかりの豪邸が売りに出されているが、買い手がつかないと報じられた。相当カネに窮していることは間違いないようだ。

   そういえば、7月に、ミスタータイガースといわれた掛布雅之(56)の個人会社「掛布企画」(大阪府豊中市)が事実上倒産していたことが報じられた。負債総額は4億円といわれる。巨人の桑田真澄、江川卓が不動産投資で巨大な負債を抱えたこともあった。人気チームの選手には、いろいろな人間がすり寄ってきて、おいしい話を耳元で囁く。それに乗って最初は儲けさせてもらう。だが、しょせん素人の悲しさ、バブルが弾けたりリーマンショックで不動産や金融商品が暴落すると、そうした人間はいち早く逃げだし、手元に残るのは巨額な負債だけというケースがよくある。今回の金本も、この報道が事実なら、野球人生最大の危機であることは間違いない。

封印された「東京湾炎上」の検討報告

   他で目につくのは暴落ものとがんについての記事。「『10月に2万件倒産!』大クラッシュが日本を襲う」(文春)、「9月再びの大暴落に備えよ」(現代)、「がんと生きる時代『告知せず』という決断」(ポスト)、「部位別がんの始まりと終わり」(現代)、「現場の磁力 鳥越俊太郎『がん手術4回』」(ポスト)

   株暴落、倒産でがんが多発する。日本の暗黒もまだまだ続くようである。

   これ以外の記事では「AERA」の「封印された『東京湾炎上』」が注目。東京湾内には5580基の石油タンクがある。東日本大震災があった3月11日、千葉県市原市のコスモ石油製油所でLPG(液化石油ガス)タンクが爆発炎上し、避難勧告が出され、1142人が避難しているのだ。しかし「これだけですんだのは奇跡」だそうだ。それに先駆けて、09年3月に「臨海部の地震被災影響検討委員会報告書」がまとめられたのに、日の目を見ることはなかったのはなぜかという追及レポート。8月2日、コスモ石油の現場が報道陣に公開された。3月11日に爆発した多くのガスタンクがひっくり返っている写真が怖い。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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