渡辺謙、チョウ・ユンファ…浅薄な歴史認識で色あせる豪華キャスト

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(C) 2009 TWC Asian Film Fund, LLC. All rights reserved.
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シャンハイ>1941年、中国・上海ではさまざまな陰謀と欲望が渦巻き、イギリス、アメリカ、フランス、日本の租界が入り組み睨み合っていた。そんな上海でアメリカ諜報員の死をきっかけに物語は動き出す。法も意味をなさない土地で、愛だけは残ろうとしていたが、戦争という宿命が待ち構えていた……。

   ジョン・キューザック、チョウ・ユンファ、コン・リー、菊池凛子、渡辺謙といった豪華役者陣の競演が実現したサスペンスロマンス。監督は『ザ・ライト-エクソシストの真実-』のミカエル・ハフストロームだ。

米中は「善」 日本兵は猿扱い

   この種の話につきものなのが歴史に対しての「解釈」の問題だろう。映画はアメリカと中国の合作だが、歴史観のバイアスには驚く。善悪の構図が非常に解かりやすいのだ。アメリカと中国は善であり、日本兵は猿扱いである。当時の上海の街並みなどの再現力と、豪華キャストの華やかな立ち振る舞いは目を見張るものがあるが、歴史認識の偏りは作品の格調を大きく下げてしまっている。あくまで恋愛ドラマとはいっても、こうも単純な歴史解釈を提示されては、置いてきぼりにされている気がしてしまう。「歴史物」の壮大さや考察を求める観客には、勧められない。故にサスペンスとしても背景がなく、あくまでラブロマンスとして見るべき作品だ。

コン・リーの妖艶な美しさ以外見るべきものなし

   しかも、監督の演出不足は明らかで、役者ではコン・リーの妖艶な美しさ以外、評するべき部分がない。テレビドラマのようなテイストで、感覚に訴えるものも乏しく匂いもない。この映画で何を感じさせたかったのかも分からない。

   レジスタンスとしての立場を取った中国の美化なのだろうか。旧日本軍の残忍さの強調なのか。はたまた謎を巡るサスペンスのスリルなのか。歴史に翻弄される男女の悲しいラブロマンスなのか、筆者には不明瞭であった。

   「映画はしょせんフィクションさ」では済まされないものがある。

川端龍介

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