玉木宏の「砂の器」泥臭さないけど原作に近い満足感

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「松本清張スペシャル 砂の器 第1夜」(テレビ朝日)2011年9月10日21時~

   野村芳太郎監督の名作映画「砂の器」よりも原作に近い脚本(竹山洋)であったが、若い人にも見てもらいたいので、中年刑事の今西(小林薫)よりも所轄の若い吉村刑事(玉木宏)を主役にしてあった。もちろん婦人記者の洋子(中谷美紀)はほとんど創作である。中居正広主演のスカタンな連ドラに比べたら、月とスッポンぐらいによく出来ていた。筆者の中にこびりついた原作のディテールは毀されなくてよかったし、昭和30年代の時代考証も見事であった。
   余りにも有名な蒲田駅操車場での惨殺事件と、謎解きの「カメダ」という言葉、芸術家集団の若く生意気な前衛的グループが同時並行で描かれ、第1夜では秋田での犯人らしいフェイク人物が丁寧に語られている。また、これまでの映像化では無視されるか軽く扱われた、作曲家の和賀英良(佐々木蔵之介)と仲間の辛口評論家、関川(長谷川博己)の愛人騒動もちゃんと出てきた。殺人の手段は替えてあったが。筆者の考えでは原作の超音波殺人は「砂の器」という名作の中の唯一の欠点だと思っていたので、竹山洋に大拍手である。
   原作で地の文に相当する説明を婦人記者の洋子に語らせたのも上手いやり方で、35年頃の記者クラブと捜査員の虚虚実実もうまく扱われている。筆者は玉木宏をイケメンだが大根役者だと思っていたので懸念したが、彼の大きく射るような瞳は、この時代のハングリー精神の若者像としては悪くない。泥臭い刑事臭には欠けたけれど。

(黄蘭)

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