力作「砂の器」の残念…「らい」避けたつまらん自主規制

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「砂の器 第2夜」(テレビ朝日)2011年9月11日21時~

   承前。1夜2夜共に大変緊張感があり面白かったのだが、やっぱりと言おうか残念と言おうか、和賀英良(佐々木蔵之介)の実の父親、本浦千代吉(山本學)の病歴は代えてあった。村を出て放浪の旅に出たのは強盗殺人犯の疑いをかけられたからということにしてあったが、これでは弱いのである。疑われたり村八分にされたとの理由では、どこか知らない街に逃げてひっそり住めばいいこと。
   本浦千代吉と秀夫父子が放浪の旅人になったのは、らい病による指の変形や膿の出た姿ですぐそれとわかったために、どんな土地でも定住できなかったからなのだ。原作「砂の器」が哀切なのは、千代吉が当時は不治の病と忌み嫌われ業病といわれた「ハンセン病」であったればこそである。この時代の真実として病名を代える必要はないし、原作者の言わんとしたことを十分伝えるのが先である。
   今では特効薬も出来、伝染力も弱い普通の病気の1つとなったが、昭和30年代ではまだお上によって強制的に隔離されていた。三木謙一(橋爪功)という親切な巡査が岡山の隔離施設に収容したればこそ悲しい父子の別れになったので、「らい」が書かれなければ別離の原因が薄弱になる。誠につまらんマスコミの自主規制である。
   和賀を演じた佐々木蔵之介は人情ハンチョウのイメージが邪魔をして、育ちが悪く闇を抱えた天才作曲家としては物足りなかった。圧倒的な存在感を見せたのは草臥れた今西刑事の小林薫であった。

(黄蘭)

採点:1.5
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