増加するシニア起業―定年退職後に「もう一旗」の強みと弱点

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   ここ数年、シニア世代の起業が増えている。日本政策金融公庫の調査によると、開業者に占める50歳以上の比率は、20年前は9人に1人だったが、昨年度は4人に1人になったという。シニア世代は定年を機に夢を実現したい、自由に仕事がしたいなど労働意欲が旺盛で、社会的経験が豊かで人脈が広いという強みを持っている。

年齢不問でスタッフ募集。同世代集めて小松菜ビジネス

   埼玉県上尾市で農家の休耕農地を借り、60代以上のスタッフを中心に小松菜ビジネスを成功させた永堀吉彦さんはこんな話をする。

「若手をスタッフとして雇用しても、気に入らないことがあればすぐに辞めてしまう。戦力にならない」

   そこで着目したのが自分と同世代か、あるいはちょっと上の世代だったという。そのために、スタッフ募集を年齢不問とし、応募してきたシニア世代を積極的に採用した。

   ゲストの慶応大学・樋口美雄教授の解説――。

「今の経済状況から、再就職は困難と考えて起業するシニアもいるが、シニア世代の強みは人を知っているということ。また、それまでの経験からさまざまな場面に臨機応変に対応できる力もあるり、若手世代の起業とは一味違う。今後、シニア起業は増えていくでしょう」

勝負は2、3年目の「山」どう越えるか

   しかし、シニア起業はには多くのハンディがある。それまでの経験を生かせる分野はすでに市場が成熟化していたり、労働意欲はあるのに体力や気力が情熱に追い付かなかったりすることもある。50歳以上が始めた企業が赤字や廃業に追い込まれる割合は、他の世代に比べて高いのが実情だ。

   電機メーカーのエンジニアとして定年退職後、蛍光灯の反射板を考案して事業化に乗り出したが、行き詰まっている加藤晋二郎さんのケースを紹介した。加藤さんは「省エネ時代でもあり、反射板は売れるのではと考えた。でも、LEDの登場でコスト競争に負けた。時代の先行きが読めなかった」と話す。

   樋口教授「起業から3、4年目で一つの山を迎える。その山を乗り越えるためには、すぐに相談できるアドバイザーのような人を作っておくことが重要。できれば、すでに起業家として成功している人が良い。また、社会的な仕組みとしても、今後はそういうシステムがシニア起業には欠かせなくなる」

   日本経済の活性化にもつながると期待がかかるシニア起業。多くの成功例が出れば、若者の雇用も確保されるだろうと番組は結んだ。

ナオジン

NHKクローズアップ現代(2011年9月19日放送「『もう一旗揚げたい』増えるシニア起業」)

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