尾野真千子「陽気で猪突猛進」演じられるか―手間暇かけた朝ドラのちょっと心配

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「カーネーション 第1回、第2回、第3回」(NHK)2011年10月3日8時~

   戦前戦後の庶民生活のリアリティが欠落していたのに、「おひさま」は視聴率がよかったので大成功のように言われた。だから、その後釜ドラマとしてはやりにくかろうが、今度はモデルがいるのでディテールは安心して見られる。「おひさま」は敗戦後の日本中が熱狂した「鐘の鳴る丘」が、安曇野の地元にも拘わらず全く出てこなかった1点だけ見ても、筆者は欠陥ドラマだったと総括している。
   本作はコシノジュンコら3姉妹を育てた岸和田の肝っ玉母さん・小篠綾子の半生記である。初回にいきなりだんじり祭りの神輿が出てきて、全体に場面転換のテンポが速くテンションも高い。番宣で神輿を京都の映画村まで深夜に移送し、そこで舗装でない道をセットで作って撮影したそうだが、金と手間暇かけただけのことはある迫力だ。3回の鹿鳴館ばりの舞踏会シーンも本格的で素晴らしい。
   主役の尾野真千子は、「Mother」の虐待母でも「名前をなくした女神」の主婦でも仏頂面の女だったから違和感がなかったが、本来、田舎育ちで笑顔の少ないタイプ。陽気で猪突猛進の糸子に向いていない懸念はあるが、現在は子役のシーンなのでまだ評価はできない。
   糸ヘン景気と呼ばれた昭和初期の関西で、洋裁で身を立てることになる女の1代記とはテレビ小説の定番として恰好のネタ。脚本家(渡辺あや)の腕の見せ所である。願わくば、主人公を寄ってたかってチヤホヤする古い朝ドラの悪弊にだけは陥ってもらいたくない。

(黄蘭)

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