筒井道隆・常盤貴子「幸之助成功物語」―宣伝臭抑えた脚本さすが

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「神様の女房 第1回 第2回」(NHK)2011年10月8日21時~

   経営の神様と呼ばれた故松下幸之助の半生記である。家族に恵まれず、丁稚奉公から苦労して大経営者になった陰には、賢くて美人の妻の存在があったというサクセスストーリーである。幸之助(筒井道隆)はエラそうな呼び名だからと、幸吉とされて「きっどん」、見合いをした相手は淡路島の船主(津川雅彦)の娘・むめの(常盤貴子)で、どん底の新婚生活から2人で独立して這い上がってゆく。
   筆者でも幸之助が「二股ソケット」の発明で成功した話は知っているが、その他にも色々と開発した製品のディテールが面白かった。工員に雇ったのはほとんどが子供で、むめのは彼らを寮に住み込ませて挨拶や行儀作法まで躾ける。後の松下政経塾を思わせる「経営は人間を育てること」の実践である。最も日本的な人情経営だ。
   筆者が関わっているあるテレビ界の贈賞式で、最高の賞を取った松下電器(今のパナソニック)の重役が、答礼の挨拶の中で語ったのは、決まって幸之助の遺訓だった。「儲けさせてもらったものを社会に還元せねばならない」といつも社員に言っていたという。幸之助亡きあとまで彼の遺訓は浸み込んでいるのだ。今はどうなのか。
   体が弱かった幸之助にガタイの大きい筒井はちょっとミスマッチだが、常盤の明るさは糟糠の妻としてまあまあ。むめのの父を演じる津川がうまい。本来、モデルのある成功物語は宣伝臭で価値が下がるものだが、本作は手練れの脚本(ジェームス三木)でよかった。

(黄蘭)

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