「宮部みゆき」生かせぬ荒い脚色―女一人で校庭に遺体埋められるか!?

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「ドラマスペシャル 火車」(テレビ朝日)2011年11月5日21時~

   言わずもがなの大ベストセラー小説、宮部みゆきの「火車」ドラマ版である。若い女の子が借金地獄に陥った挙句、殺人まで犯してしまうバブル時代直後の物語だ。休職中の本間刑事(上川隆也)は親戚の青年から婚約者が突然消えたので探してほしいと頼まれ、しぶしぶ調べ始めたら、実は関根彰子(佐々木希)は本人ではないらしいとわかってきて、複雑なカード名義乗っ取り事件の幕が開く。
   原作は時代を描いてまことによく出来ていたのだが、原作とテレビドラマは別物、筆者にはアラばかり見えてあまり楽しめなかった。というのは脚色がイマイチなのである。例えば、本物の彰子の遺体が埋められていた学校の校庭で、ブルドーザーを使い遺体を掘り返す場面がある。絵面が派手なのでドラマの山場にしたつもりだろうが、見ているこちらは「一体こんなに目立つところにどうやって埋めたのだ?」と疑問が浮かぶし、ペットと同じ場所に埋めてやる厚意より、殺人がばれる方が問題だろうがと突っ込みたくなるのだ。
   推理小説は作者が構築した筋書に沿って都合のいい部分を強調的に描いて展開すればいいが、一旦映像にすると様々な不都合が露わになることがある。だから、よほど脚色には練達の腕がいるので、当作品はそこに弱点がある。墓地ツアーの記念写真も、自己を消したい人間が記念撮影で「顔を晒すか?」と不審100倍だし、目立つ銀座で次のターゲットと会う設定も原作通りなのだが疑問符が湧く。

(黄蘭)

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