2024年 4月 18日 (木)

野田首相TPP参加表明で御用済み。ハワイで写真もなかった土下座外交

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「私はTPP参加に賛成である。非関税障壁については、アメリカの言い分をそのままのむのではなく、存分に交渉し、受け入れがたい条件は拒めばよい。(中略)むしろ日本は積極的に打って出て、中国や韓国、インドやタイなども参加する大きな構想の実現こそ目指すべきなのだ」

   この発言は、「週刊朝日」連載「田原総一朗のギロン堂」からの抜粋である。私もTPPの内容が詳細に開示されてからなら、こうした構想はありだとは思う。しかし、やはり思っていたとおり、野田どじょう総理はどうにもならない卑屈な態度で、アメリカのいうがままの土下座外交しかできないことが、のっけから露呈してしまった。

   オバマ・アメリカはしたたかだった。日米首脳会談のあと「日本側は例外なき自由化交渉に臨む」と野田が発言したと世界へ向けて発表してしまったのである。野田は、あわててそんなことは言っていないと打ち消したが、アメリカ側は「『何が問題』米いらつく」(11月17日の朝日新聞より)といらだちを募らせているというのだ。

   いわんこっちゃない。「週刊文春」によれば、ハワイ唯一の地元紙にAPEC参加各国首脳の名前が列挙されているが、野田どじょうの名前がないし、首脳が泊まるホテルには顔写真がついているのだが、野田のところは「JAPAN」としか書かれていない。風采の上がらない中小企業のおっさんみたいな野田の役割は、アメリカのいうなりにTPPへ参加するといってくれればよかったのである。どうせ数か月すればまた別の総理になるのだから。

   不思議なのは、ほとんどの週刊誌が、これだけ大問題のはずのTPP参加の是非をとりあげていないことだ。野田を揶揄するためにTPP問題を絡めてはいるが、その他では週刊朝日が「外国のコメや牛肉は日本人に合うのか 老舗すし店、定食屋で徹底食べ比べ」とやや斜めから取り上げたのがあるだけで、真正面から取り上げているのがないのはどうしたことか。

   「サンデー毎日」が鳥越俊太郎を起用して小沢一郎インタビュー「小沢一郎 すべてを語る」をやっている。もちろん何も語っているわけではないが、なかで小沢は「今、米国が主張しているTPPをそのまますぐ受け入れることとは別問題。日本の国民生活をちゃんと守るシステムをつくったうえで、吟味してやらなければならない。(現時点で交渉に参加すれば、米国の)意のままにやられてしまいます」と語り、農業よりも問題は医療制度で、日本の皆保険制度を自由診療などで崩そうという意図があるといっている。ここでも不思議なのは、ならば「TPPへの参加はちょっと待て」と党内でなぜ大声で小沢はいわないのか。落ちたりとはいえ小沢が言えば呼応する議員の20や30はいるはずである。

ナベツネ時代の終焉―ドン気取りに噴き出す「老害」批判

   さて、先週からTPP問題よりも多く取り上げられたのは、巨人軍球団代表清武英利の渡邉恒雄読売新聞主筆批判である。今やメディア界だけではなく、政界にも大きな発言力を持つ日本のドン・渡邉恒雄主筆に対して内部から批判の刃を向けたのだから、多くのワイドショーでも取り上げ大騒動になった。文科省で記者会見を開いた清武のいい分は、巨人の来期のヘッドコーチには岡崎郁が内定し、渡邉主筆にも了解をもらっていたにもかかわらず、その後、渡邉が独断で岡崎に代えて江川卓を招く交渉を進めていたのは、不当な鶴の一声で、愛する巨人軍を私物化する行為で許すことはできないというものだ。野球界だけでなく、新聞界でも「老害」と批判されている渡邉主筆に対して、身内から「おかしい」という声が出てきたのは、どんなに取り繕おうと渡邉時代が終焉に向かっている象徴的な出来事である。

   清武球団代表は彼が社会部時代から知っている。ひとことでいえば真っ直ぐな人である。巨人を愛すること人後に落ちない。彼が巨人に入ってやった最大の功績は、育成制度をつくったことである。それまでは、他のチームの主力選手を札束攻勢で引き抜いて主軸に据えていた。それでは自分のところの若い選手が腐ってしまったり、一軍に上がる機会が失われると、若い選手を育てることに力を注ぎ成果を出してきた。

   そんな清武に週刊誌は好意的かと思っていたのだが、「週刊新潮」、文春を読んでみると意外にそうでもないのだ。新潮は「『ナベツネ主筆』『清武代表』サシの対峙の一部始終」で、清武が会見を開く48時間前に読売本社の13階で渡邉・清武会談が行われ、渡邉から岡崎をヘッドコーチにしたまま江川卓を助監督にしたらどうかという提案があり、1、2年後に清武を球団社長にする懐柔策まで話していたと書いている。また、会見の前日、密かに原辰徳監督が宮崎から東京へ戻っていたことを察知し、妻と一緒に外出しているところを撮っている。読売関係者の談話では、実現したかどうかわからないが、その日に江川と会って年俸や契約年数を詰めることになっていたというのだ。ここから話は原も含めた巨人軍全体の紛争へとエスカレートしていくのだ。

清武代表の「隠し球」税金がらみのスキャンダルか押し紙暴露か

   文春の「清武GM一人ぼっちの叛乱『オトコ涙』の全内幕」によれば、11月4日(2011年)、原が渡邉と話し合う中で、岡崎を外してほしい、江川を代わりにほしいと直訴していたというのだ。こうしたことが進行していた裏には、清武と原の長年の確執があった。昨年オフにも補強を巡って激しく対立し、口も聞かなくなったという。また、清武は岡崎を将来の監督に考えていると球団内部では見られていて、原は江川監督を考えていたのではないかという見方もある。

   たしかに江川監督構想というのはだいぶ前からあるし、私も親しくさせてもらっていた、今春亡くなった渡辺主筆の盟友、氏家齊一郎・日本テレビCEOもそう強く望んでいた。しかし、桑田真澄の借金も巨人軍が肩代わりしたため、江川の借金までは手が回らない。あの借金がなければと氏家CEOが何度も嘆息していたことを思い出す。江川が入閣すれば清武の球団における覇権は大幅に縮小する。だからそれを潰すために会見を急ぎ、その件を暴露したのではないか。

   読売新聞社員の清武批判も厳しい。プロ野球を私物化してきたと清武は渡邉のことをいうが、清武自身も巨人軍を私物化し暴君として君臨してきたではないかというものだ。新潮は、社会部記者として数々のスクープをものにしてきた敏腕記者の清武が、何も武器を持たずに読売のドンに反旗を翻したとは思えないと、こう書いている。

   「税金がらみのナベツネのスキャンダルを握っているのではないかなどと言われています。あるいは、『いや、押し紙のことを暴露するのではないか』なんて口にする社員もいる有様です。ナベツネ側近らは、いまや清武さんの『隠し球』を必死に探り出そうとしています」(球団関係者)

   この問題は12月中旬に開催される球団の役員会まで持ち越されることになりそうだが、ここまでヒビが入った渡邉・清武、原・清武の関係が元へ戻ることはないだろう。先日の会見終了直後に清武球団代表にメールでエールを送った。「ありがとうございます。やむにやまれぬ会見だったのです」という返事が返ってきた。メディア人であることを忘れ、私利私欲とまではいわないが、新聞界や野球界、政界にまでドンを気取って口出しする渡邉主筆に、まさかの身内からの大謀反である。清武だけをドン・キホーテにして一件落着してはいけないと、私は思う。

殿山泰司「日本女地図」港港に女がいたハゲオヤジのモテっぷり

   このところ一足早く冬枯れしている軟派記事だが、「週刊ポスト」の回顧シリーズにときどき読ませるものがある。「昭和の『奇書』復刻 殿山泰司『日本女地図』」がそれである。殿山といえば「三文役者」と自称しながら、73年の生涯で300本に上る映画に出演した名脇役で、エッセイストとしても有名な御仁である。『日本女地図』は1969年にカッパブックスから発行され、大きな話題になった。ハゲで風采の上がらないこのオヤジ、なぜかすこぶるもてるのだ。それこそ港港に女ありである。

「女をつくづく味わうと、どれもがそのたびごとに、キラキラと新しい体験を与えてくれるのだ。肉づき、匂い、締まりぐあい、濡れかた、啼きかた、温度、おケケの濃淡、深浅、感度etc、無数の要素が組みあわされて、ひとりひとりのオンナを作りあげるのだ。同じであるなんてことが、あるはずがない」

   北海道から九州まで、自分が接してきた女について研究した成果を集大成したのがこの本である。こんなぐあいである。「北海道」おおらかで、男をだましたりしないから、安心して付き合っていい。「茨城」水郷のオンナはアソコのしまりがものすごくいいんだ。「東京」きわめて顕著な上ツキである。「静岡」絶品であります。タコ、キンチャクが多いんだ。「滋賀」昼は聖女、夜は娼婦なんだ。「三重」この名器にナメクジMANKOと命名したい。「島根」カワラケは出雲ソバよりはるかにうまい。「沖縄」ちょっと息を吹きかけただけで、すぐもう興奮する感受性。

前田敦子「女が嫌いな女」41位から急上昇の5位

   新潮、文春の雅子妃いじめが止まらない。特に今週の新潮は「『天皇陛下』お見舞いを止めた『雅子妃』お振舞いの非常事態!」は、天皇が東大病院に入院しているのに、お見舞いの順番が、秋篠宮夫妻が最初で、次の日は黒田清子さん、最後が皇太子で、しかも雅子妃は風邪をひいたとして同行しなかったことをあげつらっている。ほぼこれだけのことに4ページも割いているのは、やや行き過ぎではないかと私は思う。何度も書いているが、雅子妃は病気なのだから、そっとしておいてあげるのが一番なのだ。国民の多くもそう思っているのではないだろうか。

   注目度が高い大阪市長選だが、新潮を除いては、みんな橋下人気にお手上げといった形である。住吉大社付近で、見たことのある老婆が感激して橋下と握手しているのを目撃した文春の記者が、その老婆が自分の祖母だったと気付く下りには大笑いした。

   最後っ屁。文春恒例の「女が嫌いな女」2011には、1位沢尻エリカ、2位和田アキ子、3位谷亮子。AKB48の前田敦子が昨年41位から急上昇の5位。政治家では蓮舫が6位、小宮山洋子厚労相が10位。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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