2024年 4月 19日 (金)

ハッカー被害いまや全世界で30億件80兆円―謎の集団「アノニマス」

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   格差是正を叫びウォール街をデモをする若者の中に、ハッカー集団「アノニマス」を名乗る不気味な仮面の男たちが現れた。彼らはニューヨーク証券取引所やSONYを公然と攻撃している。ハッカー攻撃はいま全世界で30億件にのぼる。企業活動の妨害や機密の盗み出しで被害は80兆円を超えるともいう。しかし全容は不明だ。「アノニマス」は米、欧、中国などに数千人ともいわれるが、実態はわからない。

   実際にその攻撃を受けた人物がいた。2月(2011年)までセキュリティー会社のCEOだった。アノニマスに潜入を試みて気づかれ、逆に攻撃を受けて幹部のEメールを公表され、画面上で「お前の負け」と決めつけられた。彼は責任を問われ職を追われた。「私のようなプロでも太刀打ちできない」

「世界を変えるには違法もやむを得ない」

   アノニマスに共鳴するグレッグ・ハウシュさん(32)はボストン郊外に住み、ウェブデザインの仕事をしている。違法行為はしていないので顔は隠さない。「彼らとの交流で人生が変わった。退屈だった日々が、いまは楽しくて仕方がない。世の中を変えられるとわかったからだ」という。メンバーと連携して、特殊なツールで標的に大量のデー タを送り込む。「ロックオンしてレザーボタンを押すだけ。最高だ!」

   この春、SONYは、ゲームの海賊版の横行に対抗して機能の一部を制限した。これにアノニマスが「機能をもとに戻せ」と要求。グループ各社のパソコンに侵入してユーザーの個人情報1億件を盗み出した。SONYは業務停止に追い込まれ、140億円の損害を出した。SONYは今も攻撃を恐れてコメントを拒む。

   ハウシュさんは「目には目を、だ。世界を変えるには違法もやむを得ない。アノニマスは正義だと信じている」という。

   ハッカー事情に詳しい名古屋大の高倉弘喜教授は、「欧米では技術やソフトはメーカーとユーザーが一緒に作る感覚。日本のメーカーは自分で作ったものに手を加えられたくない。この違いだろう。アノニマスでも、優秀な技術者は一握りだが、裾野のハッカーの暴走をコントロールできなくなっている」という。

対策遅れる日本。米国では「善玉」で「悪玉」駆逐

   日本では国会や防衛産業、在外大使館が相次いで攻撃を受け、情報流出が確認された。高倉教授によると、各国では数年前から備えていたが、日本は無防備だったという。かつてハッカーは侵入で技術を誇示して満足していたが、いまは情報が売れるようになって様相が変わった。

   アメリカではすでに事態がひとつ進んでいた。 ラスベガスで毎年開かれるハッカーの世界大会は、「ホワイトハット」と呼ばれる善玉ハッカーの集まりだが、ここが企業や政府機関の人材リクルートの場になっていた。検索大手のグーグルや国防総省は、こうした人材を生かして悪玉ハッカーと対峙させていた。空軍の捜査官の1人は「人数が足らない。今の3倍は必要だ。さもないと彼らに勝てない」といっていた。

   高倉教授はその切実さを、「軍のシステムは高度にネットワーク化されているから、ここを攻撃されたら戦争ができない。また、ハッカーを国が支援、指導していることもありうる」と嫌な可能性も示唆した。

   こうした実態から見ると、日本の取り組みは遅れているなんてものではない。日本のケースでは接続先に中国の名前がしきりに出た。サイバー空間の防衛戦略を発表した米政府の念頭には中国がある。アノニマスなんてお遊びの部類なのかという気がしてくる。

ヤンヤン

NHKクローズアップ現代(2011年11月17日放送「暴走するサイバー攻撃 密着・謎のハッカー集団」)

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