女子力アップでメダル増産―ロンドン五輪向け「サポートプロジェクト」
女子アスリートの活躍がめざましい。牽引役となったのは女子サッカーの「なでしこジャパン」だった。女子アスリートたちの胎動に国も着目、女子の五輪種目が増えるなかで注目種目に人と資金を投入し、ロンドン五輪のメダル増産を狙ってサポートプロジェクトを立ち上げた。スポーツの休・廃部が相次いだ経済界でも新たな支援の輪も動き始めている。
13種目に国がスポーツ科学の専門家派遣
人、モノ、金が男性アスリート中心に配分されてきたぬるま湯のスポーツ界。夏の五輪のメダル数は躍進した東京五輪(1964年)の後は低位横ばいが続いており、後から追い上げてきた中国に大きく水をあけられている。
これに対し女性アスリートたちは、経済的、社会的な後押しに恵まれず、家族の支援を頼りにひたむきな努力で世界のアスリートと戦える実力をつけてきた。五輪のメダル数もここ20年間に女子が半分を占めるようになってきている。
国が始めた女子アスリートのサポートプロジェクトはそうした女子パワーに着目し、今年度は22億円の予算をつけ、13種目にスポーツ科学の専門家を投入している。
2000年に五輪の正式種目となった女子トライアスロンは、9月(2011年)に横浜で行われた世界選手権で日本選手女子を文科省から派遣されたスポーツ科学の専門家6人がハイスピードカメラで追った。足の着地点一つひとつを確認してレース中に歩幅がどう変化するのかを調べたり、自転車の速度やペダルにかかる力を計測し、最新理論で選手たちをバックアップする。長年指導してきたコーチも気づかなかった課題を科学の目で見つけ、練習方法の改善に結び付けていくのだという。
「女子アスリートにはそれだけメダリストになりえる選手が多いということですか」
キャスターの国谷裕子が聞くと、スポーツマネジメントが専門の高橋義雄筑波大大学院准教授はこう答えた。
「これまでもJOC(日本オリンピック委員会)を通じてメダルを取るために競技力を強化してきている。国のサポートはプラス・アルファをとして、メダルのとれるチャンスのある種目について男女を問わずサポートしている」