保育園の企業参入で用地確保の動き―ノウハウ持たずトラブル心配

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   保育園に通わせて自分は働きたい。でも、保育園に入れない待機児童が2万5000人以上――国は2013年度からの育児支援策「子ども・子育て新システム」で、企業などの保育事業参入を目指している。すでに用地確保に動き出している企業もある。企業の保育園経営は何をもたらすのか。

自治体だけでは費用も人員も足りない

「不況で共働きの夫婦が増える中、子供が保育園に入れないので働くことを諦めている母親たちが全体の33%いるといわれています。どう保育園不足を解消するのか。その現状を追ってみました」

   キャスターの国谷裕子はこう切り出し、その具体的な事例として東京都・足立区のケースを取り上げた。区は幼稚園を活用して保育園も併設するというプランを進めているが、「設備投資の問題が大きな障害となっています。保育園児向けの調理室を設置しようとすれば、最低でも3000万円はかかるといわれています。幼稚園にこれだけの費用負担を課すことは大きな重荷です」(国谷裕子)というのが実状だ。

大人向けのチキン料理で骨を詰まらせる事故

   こうした待機児童対策のひとつが、国の「子ども・子育て新システム」で、民間企業などに保育園経営を開放するのが目玉だ。恵泉女学園大学大学院の大日向雅美教授は企業参入をこう解説する。

「民間パワーの活用によって、児童教育が高まる可能性は十分あります。働きたいと思っている母親たちが全員仕事に就ければ、GNP比(国民総生産)が5%増加するという試算もあります」

   「クローズアップ現代」は安易な民間参入に警鐘を鳴らす。具体的なケースとしてスポットを当てたのが保育園児向けの給食。過去に大人向けのチキン料理を園児に提供し、子供が喉に骨を詰まらせる事故があったと伝え、保育ノウハウを持たない企業の保育園経営を心配するする母親たちも少なくない。

   大日向教授は「国や自治体のチェック機能の充実が重要。保育のためのさまざまな規制に事業主体がどう取り組んでクリアしているのか。常に見守る必要があります」と話す。

地方では経営続かず廃園に追い込まれる幼稚園

   大日向教授は「幼児教育崩壊」の危機を訴える。

「地方では幼稚園が廃園に追い込まれる事態も起き、幼児教育の場が失われつつあります。この背景には保育園と幼稚園が分かれているという問題があります。小さな子供たちをどう育てていくのか。親任せではなく、社会全体で考える時期に来ています」

   国谷は最後に「今後の子育て支援はどうあるべきか。その抜本的な対策が求められています」と話した。この番組は鋭い問題提起をしながら、結論を当たり前の抽象論で放り投げてしまうはぐらかしが多い。この日の「社会全体で考える時期に来ています」「抜本的な対策が求められます」というのも、何か言っているようで何も言っていないのと同じだ。

ナオジン

NHKクローズアップ現代(2011年11月21日放送「岐路に立つ保育の現場 加速する民間参入」)

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