2024年 4月 24日 (水)

津波被災地の再建堤防「高さとるか海の眺めとるか」

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   宮城、岩手の津波被災地で、復旧あるいは新規に建設する堤防の高さをどうするかが論争になりそうだ。高くすればむろん安全だが、海が見えなくなる。コンクリートに囲まれて住むことに耐えられるか。

気仙沼「壁に囲まれまるで刑務所」

   宮城県は整備する堤防の高さについての方針を出した。気仙沼では湾 内最奥の一帯には6.2メートル、その前面が5.0メートル。 さらに外が7.2メートルとなっている。明治三陸津波などから割り出されたものだという。

   気仙沼はもともと細く切れ込んだ湾にへばりついた町だ。水がひたひたと岸壁に迫り、目障りな防波堤はどこにも見えなかった。いま県のいう防波堤を実景に当てはめてみると、岸壁も砂浜もコンクリートの壁が立ちはだかって、海が全く見えなくなる。沖の船からは町自体がコンクリート壁の奥に隠れる。

   「海を見ながら生活していたのが、壁を見ながらでは精神的にもおかしくなる」「商店街にとっては、堤防が命取りになりはしないか」「海の見えない気仙沼は魅力ないですよ」ということになる。

   気仙沼の大島は3月に12メートルの津波が襲った。今回の方針では、大島の突端部は11.8メートルから7メートルの堤防がぐるりと取り巻く。映像シミュレーションしてみると、まるで刑務所の塀だ。これが砂浜に立ったのではたまらない。

   「反対です」「海岸線が観光地として使いものにならなくなる。漁業と観光で生きてますからね」「10メートルのものができたら、目の前が真っ暗」

陸前高田は「もっと高くして」

   一方、北隣の岩手・陸前高田市では正反対だ。海に向かって広く開けた同市は、湾口前面に頑強な堤防があったが、ことごとく津波に蹴散らされ、もともと高台が少ない地形だから市街地も壊滅した。防潮堤は一部修復が進んでいる。もとは5メートル だったが、今度は15メートルのものを要望している。しかし、岩手県から示されたのは12.8メートルと12.5メートル。これは数十年から百数十年に1度の津波を想定しているという。

   「高い方が安心します」「高いにこしたことはない」と、こちらは圧倒的に高い方がいいという。沖の防潮堤だから目の前の景観が大きく変わるわけでもない。

   戸羽太市長は津波で夫人を亡くしている。

「いずれにしても、まず人命。観光や景観と人の命を比べることはどうかと思う。13.8メートルを経験したのですから、少なくともそこまでは」

   司会のみのもんたが「沖合に作ったらどうですか」

   そう、松島町が被害を免れたのは、沖合に点在する島の具合だった。あれはたしかに研究すべき実例かも。

   尾崎弘之(東京工科大教授)「堤防で100%防げるわけではない。要望が分かれているのだから、高台に移動する人に補助を出すとか、残る人の固定資産税を安くして、そのかわり防災は自分でやってくださいとか、選択の幅があっていい」

   与良正男(毎日新聞論説委員)「住むところは高台にして、低いところは工場とか商業施設とかにした方がいい」

   ここでみのが「ボタン押したらグーッと堤防が出て来ると…」と言い出したので、真面目な話が吹っ飛んじゃった。しょうがないやつだ。

文   ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト
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