「都構想」説明不足―大阪の何が変わりなぜ再生できるのか

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   11月27日(2011年)に投開票が行われた大阪の府知事選と市長選で、橋下徹前府知事が率いる「大阪維新の会」が圧勝した。1年前に誕生した小さな地方政党が100人以上の地方議員と大阪府・市長を擁するようになった背景を探った。

既成政党への失望が押し上げた「維新の会」

   キャスターの森本健成は「橋下氏は大阪都構想を掲げて平松氏に戦いを挑みましたが、過去にはこの2人が親密な関係にあった時期もありました」と、橋下が府知事就任後に平松と行政サービスの統合を訴えたポスターを紹介した。そこには笑顔の2人が載っていた。

   しかし昨年、行政統合の主導権を巡って亀裂が生じ、今回の一騎打ちとなった。NHK出口調査の政党支持率は、トップが大阪維新の会19%で、次が平松前市長を推した自民党17%、民主党14%で、維新の会には既存政党を上回る勢いがあったことがわかる。また、街の有権者にも「民主や自民が何かやってくれるだろうと待っていたが、何もやってくれなかった。でも、橋下さんは何かをやってくれそうな気がする。橋下人気が高まるのも当たり前」(中年男性)と言う。また、選挙で期待したものとして、約6割の大阪再生を上げた。

松井知事の焦り「人・モノ・カネがどんどん流出」

   松井一郎・大阪府知事に森本が今回の勝因を聞いた。

「政策を必ず実行するという政治家の覚悟を感じてもらえたからではないでしょうか。私たちの実行力を信じてもらえたからだと思います。
   これから医療費や福祉が増加することは目に見えています。そのための財源をどう確保するのか。これまでの大阪府と大阪市による行政の二重構造はなくして一本化をすることが必要なんです。大阪都構想はそのためには欠かせません」

   スタジオの政治学者・新藤宗幸氏が松井に、「都構想はまだスローガンの段階。構想が実現できたら何がどう変わり、なぜ大阪の再生ができるのかという具体的な説明がなされていない。都構想の実現を急ぐ前に、きちんとした説明が必要なのではないか」と聞く。

   松井「大阪から人・モノ・カネがどんどん流出している。もう大阪に魅力はないと、関東や海外に出て行く企業もある。大阪の中小企業には自前で人工衛星を飛ばせるぐらいの優れた技術力を持つ企業もあるが、こうした企業が海外に製品を輸出しようとすると、これまでの行政の二重構造によって、時間や手間、経費がかかりすぎる。都構想は大阪を再び魅力ある街にするためには避けては通れません」

地方政党で支持基盤固め狙う首長たち

   森本が新藤に「今後、地方政党が増える可能性はありますか」と聞くと、新藤は「首長が自分の支持基盤を強めるために地方政党を設立するという可能性はあります。でも、そうした政党の影響力が大きくなれば、既存政党がすり寄ってくるというケースも出てくるでしょう。そうしたとき、地方政党がどう自分を律するのかがテーマとなります」と解説した。

   橋下は「民意の後ろだけを得た」と有頂天だが、橋下が得た民意は6割で、4割は「橋下ノー」だったことを、新府政、新市政のスタートとしないと「切り捨て行政」のゴリ押しとなりかねない。

   *NHKクローズアップ現代(2011年11月28日放送「大阪ダブル選挙『民意』は何を求めたか」)

ナオジン

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