やさしい虐待―良い子ども良い家庭に潜む「行きすぎたしつけと教育」

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   勉強がよくできて、しつけも行き届いていたはずのわが子が、突然不登校になり、家に閉じ籠ってしまうケースが増えている。暴力や暴言で虐待したわけでもなく、理由が分からず苦しむ親。しかし、その親に原因があるという。子どもの将来のためにと行ってきたしつけや教育が行き過ぎて、伸び盛りの子どもの心をがんじがらめに締め付け手しまうのだ。

   この「やさしい虐待」は親にとって衝撃的な話だが、ではどうすればいいのか。専門家は「まず親自身が変わることだ」という。

自分のトラウマをわが子にぶつけてしまう親たち

   不登校の子供は現在11万5000人ほどいる。国が昨年(2011年)、不登校のきっかけを調べたところ、1位が無気力、2位が不安だった。専門家は、そこには暴力や暴言による虐待と同じように、子どもの心を蝕む「やさしい虐待」が潜んでいると指摘する。やさしい虐待とひと言でいうが、子どもにとってどこまでが許容できるしつけか、どの線を超えると虐待か、親にしてみれば難しい。東海学院大大学院(岐阜県各務原市)の長谷川博一教授は次のように指摘する。

「やさしい虐待は親自身の幼いころの体験が関係しているケースが多い。親自身が母親に言われたことをそのまま同じように自分の子どもにも言っている」

   長谷川教授は子どもが不登校になっている母親を中心にした集団カウンセリングを行っていて、参加した母親たちに自分が子どもの頃の嫌な体験を書くよう求めた。ある母親が書いた文字は「くらべないで」「一人にしないで」「バカにしないで」だった。また別の母親は思い出すのすら嫌だったのだろう、紙を真っ黒く塗りたくり文字は書かなかった。子どもにプラスと思われるしつけや教育も、過度に押し付けると子どもの心を蝕み、大人になってもトラウマとして残ることを示している。

甘え、わがままを認める親になれるか

   では、親世代の子どもの頃と今の子どもとどう違うのか、どう育てればいいのか…。「親の過剰なしつけで、子どもは感情が抑えつけられてしまいますね」というキャスターの国谷裕子に、不登校や家庭崩壊の著書が多い作家の重松清は次のように話す。

「教育ママなんていう言葉があったが、そのころに比べて、いまの社会は親が失敗したら大変だと切羽詰まっている。子供もがんばろう、がんばろうと消耗し切っている」

   偏差値教育でトップからビリまで順番がつき、いじめが横行し気が抜けない。学校で相当きついのに、家に帰ってさらにしつけや勉強をきつく言われたら身の置き場所がなくなってしまう。

   長谷川教授は「子どもの甘え、わがままを親が認めることだ」と助言する。そうすれば子どもは安心し伸びのび育っていくはずだという。

モンブラン

NHKクローズアップ現代(2011年12月14日放送「やさしい虐待~良い子の異変の陰で~」)

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