渡・渡瀬兄弟共演―じっくり心の襞描いたゆったりテンポ心地よい

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「ドラマ特別企画2011 帰郷」(TBS)2011年12月23日21時~

   渡哲也と渡瀬恒彦兄弟の40年ぶりの共演と宣伝文句にあるが、筆者が面白く感じたのは別のことだった。普通「帰郷」というと都会へ出ていた人間が久しぶりに田舎の故里へ帰るか、或いは大佛次郎の「帰郷」のように外地から帰国することを想像する。だがこのドラマでは、大分県の過疎の半島に行っていた弟医師・神尾真次郎(渡瀬恒彦)が22年ぶりに故郷の東京下町を訪ねてくる話なのだ。
   行徳の病院院長・神尾龍太郎(渡哲也)は弟に負い目がある。22年前に不在だった弟に代わり真次郎の娘の手術をして死なせてしまった過去があるのだ。昔は出世主義で切れ者の医者だった真次郎は、故里を捨てて大分県に渡り、巡回診療の医師をしているが、過疎の村に来てくれる医者を探しに久しぶりに帰ってきたのである。
   真次郎の亡き娘と双子かとまで言われた龍太郎の子・珠美(内田有紀)は、子持ちの年上男と結婚したがっているが父は断固反対である。兄弟両家の家族の過去や絆が淡々と描かれる。兄に逢おうとしなかった弟も最後には会うのだが、今時流行りの場面転換の早いドラマとは全く違い、下町の緑や人々の往き来をさり気なく映しながら、じっくりと心の襞を描く。ちょっとした小津映画もどきである。ゆったりテンポでも退屈はしないし、下町の風情には似合う。渡と渡瀬は実の兄弟なので違和感はないけれども、いつも2枚目半の人情刑事役が多い渡瀬の、暗く屈折した医者役には少し戸惑った。

(黄蘭)

採点:1
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