堤真一・池松壮亮ものわかり良過ぎる父子「嘘つけぇ」―オチの甘さがっくり

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「とんび 前編、後編」(NHK)2012年1月7日、14日21時~

   重松清の小説のドラマ化である。広島県備後市に住むブルーカラーのトラック運転手、市川安男(堤真一)と1人息子、旭(池松壮亮)の父子物語だ。日本人の好きな極め付き人情物語で、主演の堤が台本を読んで泣いたと番宣されているが、事前にそんな風に喧伝される感動ばなしだとヘソが曲がってしまう悪い癖の筆者。
   愛した妻は息子が3歳の時に、荷物が旭の上に崩れ落ちてきたのを助けようとして亡くなり、男手1人で育て上げる。旭は「とんびが鷹を産んだ」と言われる真っ直ぐで優秀な青年に育ち、1流大学に合格して上京する。それまでは、周りに愛情深い隣人たちがいて、「旭、アキラ」と何くれとなく気にかけてくれた。今時枯渇したコミュニティで、昭和37年以降の田舎町の典型的な風景である。
   地方出身の若者が必ず直面する「田舎に残した1人暮らしの親をどうするか」という問題に、安男は1人で広島に残ることを選択する。前編はよく出来ていた。高度経済成長期の日本の底辺を支えた労働者階級の日常がビビッドに描かれていたし、乱暴だが根は人のいい田舎者たちの素朴な人間関係もよかった。筆者が気に入らないのはオチの部分である。旭は大卒後、東京で勤め、子連れの年上女と結婚する。それを安男はニコニコと歓迎し、生さぬ孫をも可愛がる。父も子も物わかりが良過ぎて「嘘つけぇ」である。親子は子が成人してからこそ葛藤が起こるのだ。結末が甘過ぎてがっくりだ。

(黄蘭)

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