2024年 4月 19日 (金)

東日本大震災予測できなかった「地震学の敗北」M9起きない思い込み

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埋もれている超巨大地震・大津波の痕跡を探せ!

   一方で、新しい試みが始まっている。古村孝志・東大教授は地質学の岡村真・高知大教授と共同で、津波のシミュレーションに取り組んでいる。岡村教授は過去の巨大地震の痕跡の研究者だ。海沿いの池の津波で堆積した砂や貝殻などを調べている。「堆積物は記録機です。3000年から5000年くらいまでがわかる」という。2人は東海、東南海、南海の3連動地震に取り組んできたが、岡村教授が大分の池で見つけた痕跡を見つけたが、従来の想定震源域では再現できなかった。震源域を九州・日向灘まで伸ばしたらようやく説明がついた。

   高知の池で2000年前の分厚い堆積を見つけた時には腰を抜かした。同じ池の江戸・宝永地震(M8・6)の堆積の4倍もある。とてつもない巨大津波の跡だ。だがシミュレーションには出てこない。そこで、3・11が海溝部で起ったことを思い起こし、あらためて南海トラフでM9を試みたところ、津波の波高は20メートルに達した。2000年前がにわかに現実になった。

   こうした研究はまだ少ない。鷺谷威・名大教授は「地質学の堆積物の研究はまだ20年くらい。2010年にようやく最初の成果がまとまったところで、学際間の連携はまだまだだ。地道な努力を続けていくしかない。一般の人も日本列島に住んでいるという自覚を持っていただきたい」と語る。

   次の地震は必ず来る。いかに予測が困難でも「いずれは来る」と腹をくくれば展望も変わろう。地震学の頼りない現状がわかっただけでもよしとするしかあるまい。誰もこの列島から逃げ出すことはできないのだから。

NHKクローズアップ現代(2012年1月20日放送「予測できなかった超巨大地震~苦悩する地震学者たち~」)

ヤンヤン

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