原発賠償あてにならない…留保や減額で生活再建メド立たず

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   東京電力福島第一原発事故の賠償手続きが始まってすでに4か月が経つが、避難を余儀なくされた被害者などから「土地や自宅の賠償が保留され、新しい家が買えない」「働くとその分が賠償金から減額される」などの声が強い。賠償の対象となるのはおよそ150万人で、賠償総額は6兆円にのぼると見られているが、これまでに支払われたのは当面の費用としての3300億円だけ。なぜ賠償問題は進展しないのか。

避難先で商売すると引かれる賠償金

   福島市で避難生活を続けている山田一茂さんは、冷蔵庫や家具も満足にない生活を送っている。自宅を3000万円かけて改築した直後に避難せざるを得なかった。「いつ帰れるか分からないし、帰れないかもしれない。親に申し訳なく思っている。帰れないとなったら、東電はどこまで賠償してくれるのか」と不安だ。

   浪江町でパン屋を経営していた被害者は、「避難先で商売して利益が出れば、その分は賠償額から引かれると言われた。それで商売をやめた仲間が何人もいる」と怒る。

   キャスターの森本健成は「国や東電は被害に遭われた方々をどう考えているのでしょうか」と、ゲストの中所克博弁護士(元JCO東海村事故・原子力損害調査研究会委員)に聞く。

「事故前と事故後では被害者の方々の生活は大きく変わってしまった。事故が個人の生活を破壊したことはもちろん、地域のコミュニティーまでも崩壊させました。除染作業が終了しても、その後の生活がどうなるかを国も東電も語っていません。腰が引けている。国が賠償についての明確な指針を示し、精神的被害を含め賠償すべきです」

賠償対象150万人。「和解センター」相談はたった600件

   国の「原子力損害賠償紛争解決センター」では、第三者の弁護士が被害者の個別事情に応じて賠償額を算定し、和解の仲介を行う。しかし、これまでにセンターに寄せられた相談件数はわずか600件余り。中所氏は「センターが和解案を出すまでに3か月はかかります。これでは余りにも緩慢だ。センター独自の基準を作り、仲介に乗り出すべきでしょう。賠償額の数字だけで評価せず、被害者の思い出や記録をも奪ってしまったことを自覚すべきです」と話す。

ナオジン

NHKクローズアップ現代(2012年1月23日放送「原発賠償 遠い生活再建」)

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