2024年 4月 20日 (土)

「中国首相暗殺を阻止せよ」笑いどころ満載007パロディ

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<ジョニー・イングリッシュ ~気休めの報酬~>『Mr.ビーン』でおなじみのローワン・アトキンソンとそのスタッフによる2003年公開の同名作品の第2弾。前作では英国の危機を救い、一時は諜報機関M17きっての敏腕スパイと称されたジョニー・イングリッシュ(ローワン・アトキンソン)だったが、モザンビークの任務でまさかの大失敗。そのショックから、現在はチベットの僧院に引きこもっていた。そんな折、英中首脳会談に出席する中国首相の暗殺計画がキャッチされ、阻止するべく再びジョニー・イングリッシュにM17から指令が下る。

ローワン・アトキンソン体を張った爆笑スパイ

(C)2011 Universal Studios.All Rights Reserved.
(C)2011 Universal Studios.All Rights Reserved.

   副題の『気休めの報酬』が007シリーズ『慰めの報酬』をもじっていることでわかるとおり、007がモチーフのパロディ映画である。イングリッシュに振り回される上司・ペガサス役を『X-ファイル』のジリアン・アンダーソン、ヒロインでイングリッシュとチームを組む行動心理学者・ケイト役を本家本元007シリーズ『ダイ・アナザー・デイ』で女スパイ役に扮したロザムンド・パイクが演じている。

   ロンドン、チベット、香港、スイスと次々に舞台が変わるワールドワイドな展開で、ボンドカーもどきの超ハイテク高級車が登場したり、激しいボートチェイスや雪山での死闘と、007をよく知っている人には笑いどころ満載だろう。しかし、いまの若い世代が007シリーズをどれだけ知っているかと考えると、いくら007がイギリス映画の金字塔とはいえ、いまさらパロディ化はちょっと新鮮味に欠ける。次回作があるなら、アメリカ映画にはなるけれど、『ミッション インポッシブル』あたりをネタ元にしたらいかがか。

   ただ、007を知らなくても十分楽しめるし、「笑えるスパイ映画」としてはなかなかクオリティーが高い。小気味よいテンポで随所に伏線を敷いて観客の想像力をかきたてる演出はすばらしく、最後まで飽きさせない。

   Mr.ビーンをほうふつとさせるローワン・アトキンソンの体を張ったコミカルな演技も健在。イングリッシュが薬で催眠状態にさせられ、中国首相に銃をつきつけながら意識と無意識のはざまで葛藤する場面、チベットでの珍修行が敵との対決で本領を発揮する場面は、とくに爆笑ものである。派手なスタントも見事にこなし、彼が57歳というのが信じられない。年代問わず、誰が見ても気楽に笑えてハッピーな気分になれる娯楽作品だ。(2012年1月21日(土)より、有楽町スバル座ほか全国ロードショー)

おススメ度:☆☆☆

バード

恵介