原作漫画「荒川アンダー」生かせぬ半端映画―主人公リク常識人に描きすぎ

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(C)2012中村光/スクウェアエニックス・AUTBパートナーズ
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荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE>「聖☆おにいさん」で手塚治虫賞を受賞した中村光の大人気ギャグ漫画の映画化である。大企業の御曹司の一之宮行(林遣都)は、父親・積(上川隆也)の教えを守り、他人に借りを作らずに生きてきた。ある日、荒川地区再開発のために、荒川沿いの不法占拠者たちの一斉排除を積から命じられて勇んで出かけたが、不法占拠者たちの「ボンタン狩り」にあって橋から川に転落、そこを美少女ニノ(桐谷美玲)に助けられる。

   「命の恩人」という大きな借りを作ってしまった行は、借りを返すために、「私の恋人になってくれ」というニノの要求を受け入れ、荒川沿いに作られた村に住むことになった。河童の着ぐるみの村長(小栗旬)に挨拶に行くと、行はリクという名前をつけられる。

前半部分はテレビドラマ再編集じゃ手抜きいいところ

   キャラクターのおもしろさに支えられている映画で、河童の村長の他にも、星のマスクをかぶったホシ(山田孝之)、シスターの格好で銃を持ち歩く男シスター(城田優)、酪農で村を支える毒舌ドS美人マリア(片瀬那奈)など、個性的なメンバーが自由奔放に動き回る。

   しかし、肝心の主人公リクの影が薄いのだ。原作では濃いメンバーに囲まれても埋もれないキャラクター設定されていて、たとえば「他人に借りを作ってはいけない」という一之宮家の家訓を妄信的に守ろうとする姿は、他のメンバーたちの意表を突く。ところが、映画では常識人キャラなのだ。そのため、リクがまったく埋もれてしまい、映画の肝となる父親やニノとのドラマ部分すら薄まってしまった。リクはもっと奇人として描かれるべきだったと思う。

   また、映画の撮影がテレビドラマ版と並行して行われたため、映画の前半部分はテレビ版の再編集となっている。テレビ版を見た人には正直退屈かもしれない。後半のオリジナルストーリーもステレオタイプで期待以下のできだった。

   ただ、小栗旬、山田孝之の吹っ切れたお芝居は見て損はない。小栗旬は村長役に立候補したようだが、やる気がひしひしと伝わってきた。

おススメ度☆☆

野崎芳史

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