2024年 4月 19日 (金)

憧れのミュージシャンと仕事!悩みに悩んだ「サインもらうべきか?」

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   意外にみんな同じこと考えているんだと知ってちょっと安心した。放送なんて仕事に携わっていると、憧れの人と一緒に仕事ができる日というのがやってくる。そんな時、昔から大ファンだったと伝えてサインをもらい、一緒に写真を撮ってもいいのだろうか。気持ちとしてもちろんイエスで、握手だってしてもらいたい、ひていはハグぐらいしてもらいたい。けれど、もう一人の自分が「仕事現場」でそんなはしたないことはするなと戒める。同業者はどうしているのだろう。気になって聞いてみたのだ。

「すごく悩む。本当はウズウズしているのに、写真撮ってくださいと言っちゃダメだって変なプロ意識みたいなものと板挟みになる」

   やはり、対等に仕事をするためにも、下手に出てはいけないという制作者の意識が働くのだ。「だけどさ、こないだ撮っちゃった」と彼が見せた携帯に写っていたのは、国民的キャラクターとスタジオでこっそり映っている写真だった。

「でも、これ記念になるよね。自分はここまで頑張ってきたんだって」

   彼だけではなく、あるディレクターはこう言う。

「自分も30代まではそんな恥ずかしいことは絶対にしないと思ってた。でも、最近は自分から実はファンだったって言うようにしてる。だって2度と会えないかもしれないんだよ。相手だって嫌な思いはそんなにしないと思うけどね。それでサインももらうし写真も撮ってもらっているよ」

   放送作家やプロデューサー、ディレクターには、携帯で有名人と映っている写真を見せてくれたり、机に写真を飾っている人だっている。別にそんな考え込むことではないのかもしれない。

業界ミーハーぶり軽蔑したように見ていた文化人

   私には忘れられない光景がある。ゲストでやってきた俳優にサインを求めたディレクターを、非常に軽蔑して見ていた文化人がいた。嬉々としているディレクターを何か汚らわしいものでも見るようだった。傍で私は、その冷たい眼差しに心の奥がキュっと凍るような気がした。以来、決して好きな有名人とあってもその事を隠し続けるようになった。

   しかし、先日ついに思いを隠しきれないほど大好きだった有名人と仕事をする日がやってきた。中学生の頃から、何度も何度もCDが壊れるかとおもうぐらい聞き、ライブも行き、ラジオのエアチェックまでしていたミュージシャンが、番組のゲストとしてやってくることになったのだ。

   本人に会える日が来るとは夢のよう。だからこそ悩みに悩んだ。数あるCDの中から一番好きなアルバムを出し、サインをしてもらい、2ショット写真を撮ってもらえば、間違いなく宝物になる。けれど、あの冷たい目がどこからか私を見ているような気がしてならない。さんざん悩んだ挙句、番組が終わって帰っていくゲストを深々と頭を下げて見送った。まるでその姿を目に焼き付けて心の宝物にしておくように。

   そうして今、サインをしてもらわなかったアルバムを聞きながら、このコラムを書いている。だけど…やっぱり若干後悔の念。そう思っても、後の祭りだけど。

モジョっこ

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