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民間事故調「報告書」で浮き彫り「現状では原発動かせない」

   福島第1原発の事故について調べていた民間の「福島原発事故独立検証委員会」で、事故直後の政府や東京電力のぶざまな対応ぶりが浮き彫りになった。司会のみのもんたも「情けないですね。何だったんですか、この対応は。これが今の日本の現状ですよ」といきり立つ。東電も原子力安全委員会もすべてお粗末、いら立った菅直人首相(当時)の過剰介入でさらに混乱が増幅したという。

「水素爆発」に頭抱えてうめくだけの「安全の番人」

   官邸スタッフや官僚ら300人から直接事情を聞いてまとめた報告書は400ページに及ぶ。まず許しがたいのは東電の幹部がこの事情聴取を拒否したこと。そのため、報告書では事故当時の東電の対応について言及できない部分があったという。事故を起こした責任者として謙虚に応対すべきなのに、独占企業の傲慢さの表れか。

再稼働なんて…

   驚くのは事故翌日に福島の現地に向かうヘリの中で、菅と原子力安全委の斑目春樹員長が交わした会話だ。

   菅の「水素爆発は起きるのか」という問いに、斑目は「核納容器に酸素はないから爆発はしません」と太鼓判を押していたが、その日の午後に1号機で水素爆発が起きた。菅から「爆発は起きたじゃないか」と詰め寄られた斑目は、「あ~」とうめいて頭を抱えるばかりだったという。これが日本の原発の安全性を最終的に任された委員長の「実力」だった。

首相官邸も東電も「泥縄的な対応」

   「泥縄的な対応」は東電も同じ。1号機の非常用復水器が作動していると誤認したり、すべての電源が喪失したため電源車を用意したものの、接続コードがないなど危機への不備は目に余る。

   こうした状況にいら立った菅が、細かいところまで介入したため一層混乱はひどくなる。東電幹部も含めて、首相官邸で事故対応に携わったほとんどの人間が、原子力の基礎的知識を欠き、泥縄的な対応に追われていたと報告書は指摘している。

   報告書で何が問われたのか。みのの答えは「(危機の際に)どういうふうに対応できるか、完全にでき上がってからでないと、再稼動なんて考えられないですね」だった。