伊丹十三「自殺の謎」触れず…点睛欠いたドキュメント&ドラマ

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「伊丹十三と宮本信子 ①」(NHK BSプレミアム)2012年2月23日22時~

   宮本信子がかつて伊丹十三と住んでいた湯河原の家に案内する部分はドキュメンタリーで、伊丹の夫や父親の部分はドラマで描く。伊丹は一回りも年の違う宮本と結婚してから、子供はいらないといっていたのに、いざ生まれると大変な子煩悩になったそうだ。平岳大扮する伊丹は、まだ小学生の息子相手に屁理屈もこねる。
   筆者はかつて伊丹を天才と大絶賛した雑誌を読んだ時、どこが天才なのか全くわからなかった。確かヴァイオリンを抱えた写真が出ていて、色々喋っているのだが、そもそも役者としては脇役がほとんどだったし、何屋なのかも判然としなかった。父親が昔の日本映画の有名監督だったという有名税で気楽に生きている呑気な2代目(?)に見えたにすぎなかったのである。今回のドキュメント部分を見ても、何故天才と呼ばれたのかは結局わからずじまいだ。
   ただし、映画「お葬式」や「マルサの女」は斬新だった。宮本の親の葬式を体験して構想を練ったことは知られているが、本来泣き節であるはずの葬式を、エロっぽくもある喜劇に仕立てた才能は伊丹の人間凝視の鋭さのなせるものである。伊丹には父親の影が付き纏い、ついに51歳で映画にたどり着いたと本作は説く。②編で出たかもしれないが筆者はみていないので断っておくが、伊丹が不倫の噂ゆえか、或いは自作映画の失敗と借金を苦にしてか明らかにされていない自殺の謎に触れていないのは画竜点睛を欠いたと思う。

(黄蘭)

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