2024年 4月 25日 (木)

福島原発被害拡大の張本人・菅直人を殺人未遂で訴追できるか

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「後進国だったら裁判にかけ、死刑という話につながりかねない」

   この物騒な発言の主は「サンデー毎日」の「A級戦犯 菅直人の刑事責任」の中の溝手顕正・自民党参院幹事長である。東日本大震災から1年をふり返る特集を各誌がやっているが、内容は似たり寄ったりである。その中で、菅直人前総理を「殺人未遂に問えないのか」とタイトルを打った毎日が目立つ。

   原発事故を検証する「福島原発事故独立検証委員会」が2月28日に公表した約400ページに及ぶ文書には、原発事故当初、菅政権中枢がいかに混迷していたかが詳細に書かれている。とくに菅首相は事故直後は斑目春樹内閣府原子力安全委員長としか話さず、怒りっぽく独善的なやり方で終始し、「国民への情報が遅れ、マイクロマネジメントにまで走った。全体として不合格と言わざるをえない」と断じている。

   菅首相は2010年10月に中部電力浜岡原発で行われた防災訓練で対策本部長を務め、そのときにSPEEDI(緊急迅速放射能影響予測システム)を用いているにもかかわらず、福島原発事故では活用せず被曝を拡大させてしまった。女房役の枝野幸男官房長官は何ら根拠がないにもかかわらず、記者会見で「(放射能汚染は)ただちに影響が出るものではない」という無責任な発言を繰り返した。さらに事故の対応を議論する際に議事録もとっていなかったのである。

   そこで編集部は「政治の根本は国民の生命と財産を守ることだ。人命を最優先すべき政治家が、白血病になるほどの放射線量と知りながらパニックを恐れて放置・隠蔽した場合、『殺人未遂』に問える可能性はないのか」と疑問を持ち、元最高検検事で筑波大学名誉教授の土本武司に聞きに行く。土本は「適用するなら業務上過失傷害か業務上過失致死でしょうが、因果関係の立証は非常に難しい」とする。

   だが、「国会事故調査委員会」のようなところが、国会に対して菅の証人喚問を要請し、そこで嘘をつけば偽証罪で刑事責任が問える。また、東京地検特捜部に、この問題を捜査したらどうかと水を向けている。大震災から1年が過ぎようとしているのに瓦礫処理も遅々として進まず、原発事故の完全な収束の見通しも立たない。無責任な政治家の象徴として菅や枝野を証人喚問することは賛成である。原発事故は人災である。被災者はもちろん日本人全体が泣き寝入りしてはいけない。

放射能除染これから30年、30兆円の利権争奪

   もう一本、原発事故関連で目に付いたのは「週刊ポスト」の「『放射能コワイ』で暴騰する『東北除染30兆円利権』の争奪戦」の記事。福島第一原発20キロ圏内で始まった除染作業は、待遇面から見ればいい条件である。1日2万円、4時間労働で無料宿泊施設に泊まれて労災も適用されるのだ。

   野田佳彦総理が「除染をしっかりすることが福島の再生につながる」と号令をかけ、費用を1兆円規模としたことから、ゼネコンの間で除染利権の争奪戦が起きているという。政府が示した工程表は、2014年3月末までに放射線量を半分にし、長期的には年間1ミリシーベルト以下を目指す。だが、民家の屋根などの線量は3割程度しか下がらず、1ミリシーベルト以下まで除染するとなると20~30年はかかるから、その総額は30兆円にも上るだろうというのである。

   大手ゼネコンにとってはよだれが垂れるおいしい話しなのだ。しかしウクライナやベラルーシを訪れた福島県の調査団は、「除染を実施したがコストがかかりすぎて効果がなかった」と報告している。結局、ゼネコンだけが儲かることになりはしないか。もっともな指摘である。

元気なときよりマインドコントロールされて売れてる中島知子

   いまもなお不自由な暮らしを余儀なくされている被災地の人たちはそうではないだろうが、このところの日本人の関心事はオセロ中島となでしこジャパン、それにダルビッシュに集まっているようである。なかでも中島というお笑い芸人と女霊能者へのワイドショーの騒ぎ方は、この国の民度の低さを象徴しているとしか、私には思えない。週刊誌が大騒ぎしないのは、二人が顔を出さず、情報も少ないせいであろう。「週刊文春」だけが巻頭で「オセロ中島奪回!父親VS女霊能者の全攻防」をやっているが、これまでの話をつなぎ合わせただけである。ポスト連載「21世紀毒談」のビートたけしのひと言がこの騒動の本質を突いている。

「どう見たって、元気だったときより今の方が世の中の話題の中心にいるわけでね、かわいそうな言い方だけど、マスコミにとっちゃ『芸人・中島』より『マインドコントロールされたタレント』のほうがニーズがあったってことなんだよ。(中略)でも、テレビっていうのはつくづくいい加減だよ。最近まで、『あなたの前世がわかる』『オーラが見える』なんてインチキ臭い番組をジャンジャンやってやがったのに、いざこんな事件が起これば一転『霊能者はケシカラン』ってことになっちまうわけでね」

   「週刊現代」、ポストの軟派記事は依然低調だが、今週は苦肉の策か、現代は袋とじで「『an・an』のセックス特集に学ぶ」をやっている。an・anが「セックスできれいになる。」とタイトルを打ったのは1983年だった。きれいとセックスを結びつけた見事なセンスで、男たちも本屋に買いに走った。

   本木雅弘の陰毛まで写ったセクシーショット(1991年)、女性誌史上初と謳った19人の読者ヌード(1992年)、アダルトDVDを付録に(2006年)など男性誌顔負けの過激なもので、雑誌界の話題をさらった。

   失礼だが、こうした革命的な企画を男性誌が再現しても、an・anを見た頃の感動は甦ってこない。いっそのことan・an編集部にソックリ依頼してつくればよかったのに。

格安航空参入でいずれ出てくる「韓国2泊3日1万円以下」

   全日空が出資した格安航空会社「ピーチ・アビエーション」が就航した。何しろ大阪―札幌間が5000円弱で行けるとあって、注目度は高い。文春がノンフィクション・ライター森功を使って搭乗記を書かせている。コストカットを徹底しているため、自動チェックインは当たり前で、事前に座席指定すると追加料金、手荷物の預け入れにも追加料金、機内で食事をしたければ、照り焼きチキンご飯が600円、日清カップヌードルが350円、インスタントコーヒーは200円。頼んでも出てくるまでに時間がかかり、森が頼んだクリームペンネパスタは到着間近にようやく出てきたが、やや冷たかったようだ。

   アメリカサウスウエスト航空から始まった格安航空(LCC)は、今や航空界の4分の1を占めるまでになった。7月にはJALや三菱商事、ジェットスターが出資したジェットスター・ジャパンが成田空港に就航するし、8月にはやはり成田からANA、エアアジア連合のエアアジア・ジャパンが飛ぶそうだ。「ピーチ・アビエーション」の狙いはアジア路線、なかでも中国客だそうで、そのために中国で縁起がいいとされている「桃」とつけたのだそうだ。

   しかし格安ツアーで韓国へ行くならば2泊3日で19800円である。これと対抗するには往復5000円から6000円程度にしなければLCCには乗ってくれないのではないか。それともLCCと組んだ旅行会社が2泊3日で1万円程度のツアーを売り出すのか。どちらにしても空の安売り競争は熾烈を極めそうだ。

空腹健康法―腹ペコで長生きするか、酒飲んでうまいもの食ってそこそこの人生か

   ところで、「『空腹』が人を健康にする」(南雲吉則著・サンマーク出版)という本が売れているそうだ。同じ著者による講談社プラスα新書「50歳を超えても30代に見える生き方」も好調だという。

   クリニックをやっている56歳の医師だが、私には年相応に見えるが、骨年齢28歳、血管年齢26歳なのだそうだ。この御仁、前は暴飲暴食で77キロまで太っていたそうだが、1日1食にしたらやせて生活習慣病も正常値になったという。彼によれば食事を40%減らせば寿命は1・5倍延びるそうである。

   以上は現代からの引用だが、ポスト「1日1食で寿命が15%延びる?」によれば、学術誌「ネイチャー」に掲載されて話題になっているのがサーチュイン遺伝子で、これは長寿遺伝子や若返り遺伝子と呼ばれるそうだ。この遺伝子のスイッチを入れるには「腹ペコ」でガマンすること。その理由は、「サーチュイン遺伝子は、空腹の状態、つまり摂取カロリーが減ると活性化する。これは動物としての防護機能と考えられ、食料が減って養分が足りなくなると、細胞レベルの損傷を防ぐために修復機能が活性化するというわけである」

   老化の原因になる活性酸素は食物から作られるので、食べれば食べるほど活性酸素を取り込み、体を壊していくそうだ。ここでも南雲医師が「腹六分目」「一汁一菜」にすれば健康で若くいられるといっている。毎日ひもじい思いをしてまで長生きしたいか、酒も好きなものも食べてそこそこの年まで生きるか。私はだいぶ前から年より老けて見られるし、足腰は弱り、体は生活習慣病の宝庫だ。これも不摂生の賜物、致し方ないのだろう。

   「週刊新潮」で「死亡率が圧倒的に低い『長野県』なぜか」という特集をやっている。長野の平均寿命は男性が1990、1995、2000、2005年と4回連続1位で、女性も05年に5位になっている。かつて長野は脳卒中による死亡率が高かったが、県に「食生活改善推進協議会」をつくり塩分の摂取量を下げる運動を始めたそうだ。それと野菜の摂取量が男女ともに全国1位。健康に対する意識の高さと塩分を控え、野菜を食べれば長寿になるそうだ。いまさら遅いが、長野へでも引っ越すか。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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