パリ「オルセー美術館」名画の秘密―小林薫うるさくない解説に説得力

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「美の巨人たち スペシャル パリ美の殿堂ミステリー探訪」(テレビ東京)2012年3月3日22時~

   昨年大改装されたオルセー美術館を訪ねるドキュメントは、先日もNHKBSプレミアムで2夜にわたって放送されたが、レポーターの天海祐希が印象派の絵画を見て、盛んに「女性の自立」的なことばかり言うのでうんざりして取り上げなかった。それに引き替え、当番組の案内役、小林薫の解説は淡々として邪魔にならなかった。
   前半のルーヴル美術館にある「モナリザ」を巡る、フランソワ1世とレオナルド・ダ・ヴィンチの関係は既に何度か見聞きしていたので、後半のオルセーについて述べると、オルセー美術館と言えばルノワールだマネだモネだシスレーだと有名画家の名が浮かぶが、学芸員が挙げた名前はちょっと違い、カイユボットなのであった。
   カイユボットは金持ちの不動産屋の息子で、自らもエコール・デ・ボザールに学び、労働者の「床を削る人々」を描いた。守旧派のサロンから締め出された印象派のド貧乏な画家たちを、売れない絵を買い取ることで援助し、たった45歳で亡くなると、弱冠28歳の時に残してあった遺言書が出てきた。それには、「印象派の自分のコレクション68枚をリュクサンブールに寄贈する。しかる後にルーヴルに納めよ」と、暗に国家に買い取れと注文をつけたのだ。ところがアカデミズムの権化の国家は買い取りを拒否、大スキャンダルになった。マスコミの圧力で結局買い取ったのが今を時めくオルセーの名画たちなのだ。印象派の大恩人が彼という誠に洒落たオチだ。

(黄蘭)

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