「会社に展望ない」グチる出版社男、「100年後に役に立つ」と大学研究男―どっちも仕事好き

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   春は出会いと別れのシーズン。新しい職場に飛び込む人もいれば、これまでの仕事をリセットする社会人も多い。送別会で送りだす人を「あいつは人生を考え直した」と羨ましくも「厳しい社会情勢でこの先どうすんの」と、残った我が身に優越感を覚える人も少なくない。それはどこの業界も同じなのだろうか。エンタメ業界に身を置いている者からすれば、「どうせまた戻ってくるんでしょ」という眼差しで送り出すケースが多々ある。さまざまな理由で業界から去ったものの、その後に収録や撮影現場で再び顔を合わせることが多いからだ。ガムシャラに働いてこんな給料かと悲鳴を上げ、体や心を壊して、離職率も高い業界なのに復帰する人が数多くいる。理由は人それぞれだろうが、やっぱりこの世界が好きだったんじゃないのとも思える。

若手社員の「会社辞めます」に甘えるな!

   仕事が終わり、女1人でふらりと呑みに行きたくなることがある。そんなある夜、とある小料理屋で外の寒さにも関わらず額に汗しているような50代半ばのサラリーマンが愚痴っていた。

「この世に、展望がある仕事なんてあるわけねぇだろ」

   出版社勤務の彼はその日、入社数年の若手社員に退職したいと告げられたのだという。業界に将来の展望を見いだせなかった若手社員の気持ちも分かる。ただ、彼は「この先の人生、頑張ってくれ」と言って退職を受理したものの、心の中では「展望のある仕事なんてないのに甘えるな!」と苦々しく思っていたようだった。

「未来の人類にとってとても重要なんだ」

   どんな辛酸をなめようと、自分の仕事に誇りを持っていれば離職率も低いのだろうか。ある番組で日本一有名な大学につとめる研究者にあった。研究者はそれこそ好きでなければ続けられない仕事の代名詞だろう。そんな彼が言っていた。

「自分がいま何を研究しているかというと、すぐに説明できないし世の中に貢献できるものでもない。だから、第三者にとってみれば、ただの物好きにしか見えないんだろうね」

   彼の研究対象は説明されてもピンと来るようなものでなく、100年後に常識になっているであろう科学知識の実証なのだという。人体に関連する研究なのだが、私たちが研究の恩恵を受けることはないらしい。でも未来の人類にとってはとても重要なことなんだそうだ。遠い将来性を見据えた研究ならやりがいもあるだろう。

   展望といえば、ちょうど1年前、薄暗い夜にラジオから流れてきた曲に涙したと書いた。「ひとつ悔んで、ひとつまたMAKE MY DAY 新しい希望を、あの日の絶望も、I Pray 小さな心でまた一歩踏み出して歩いていく…」

   しかし、あれから世の中に展望が見えてきたとは未だ言い難い現状だ。

モジョっこ

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