2024年 4月 25日 (木)

ナベツネさんの感想聞きたい!悪徳記者扱いに激怒した「運命の人」終了

   <運命の人(TBS系日曜よる9時)>大作が終わった。1年前、大震災と原発事故にうちのめされて以来、日本中がその問題に覆いつくされるなか、沖縄返還40周年にこういう直球勝負をする気概にはやはり敬意を表する。

   返還に伴う日米政府の密約という実際の事件を扱っているので、主人公の新聞記者をはじめ、おおかたの登場人物にはモデルが存在する。当初、友人でライバル紙記者のモデルと見られるナベツネさん(読売新聞グループ本社会長・渡辺恒雄氏)が激怒したとかで話題になった。主人公の毎朝新聞記者・弓成(本木雅弘)が正義を貫く清廉な記者となっているのに対し、読日新聞記者・山部(大森南朋)がダーティな悪徳記者に描かれていたかららしい。

   でも、山部は友情に厚く、証言台に立って表現の自由を主張するなど、回を重ねるにつれなかなかカッコよくなっていった。終わりまで見たら、ナベツネさんも怒りが収まったのでは?

本木雅弘「清廉記者」立派だけど周りは疲れただろうなあ

   主人公をめぐる2人の女にもかなり重点が置かれていた。弓成に惹かれ、機密文書を彼に渡す外務省事務官・三木昭子(真木よう子)と、弓成を支え抜く妻・由里子(松たか子)。真木よう子の昭子は強くて美しすぎた。もっと世間知らずな弱い女の方が実像に近い気がする。

   ちょっと本筋からそれるが、この昭子は夫が元外務省のキャリアで、病気退職したため、代わりに妻である自分が外務省の事務官(当然ノンキャリだろう)となったとどこかで出ていた。就職難に悩んでいる今の若い人たちが聞いたらアタマにくるだろうなあ。だけど、ある友人が「父が死んだので、父の友人が母に都庁職員の職を世話してくれた」と言ってたから、昔は公務員の採用といってもいい加減なこともあったらしい。

   ドラマを貫く主人公・弓成の「自分は新聞記者だ」という自負には圧倒される。ここまで使命感をもって天職を全うしようとする姿には、立派だという反面、「独りよがりだ」とか「いい加減にしろ」とか思う人もいるかもしれない。周りはたまらんだろうなあ。それでも私は、こういう記者にはいてほしいと思う。

   新聞も「読者に親しみやすく」という旗のもとで勝手に読者像を規定して、それに迎合するのはやめてくれ。15日(2012年3月)のA新聞の朝刊には驚いたぞ。「巨人、6選手に契約金36億円」というのが1面トップ。おたく、スポーツ新聞だったの? ナベツネさんもびっくりしただろうなあ。

(カモノ・ハシ)

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