治療受けてもうつ病が改善しない…そううつ病との「誤診」4割
病院で「うつ病」と診断され治療を受け続けているのにいっこうに改善しない患者の中に、「そううつ病(双極性障害)の人が4割もいることがわかってきました」(小林孝司アナ)という。うつ病の治療薬がかえって症状を悪化させているという。
間違った治療方法でかえって症状悪化
「うつ病」と「そううつ病」は似ているようで、まったく違う病気だ。だから、治療方法も薬の処方も異なる。柳沢秀夫解説委員は「そううつ病なのにうつ病の薬の処方では、治らないというより、これは誤診では済まされない気がする」と驚く。
キャスターの井ノ原快彦が「それを一緒くたにしていたということですか」と精神科の木村真人医師に聞く。「限られた時間(問診)の中で、そう状態があるかどうか、うつ状態だけなのかの見極めは難しい」
そううつ病は気分が落ち込み無気力になるうつ状態と気分が高揚するそう状態が交互にくる病気だが、患者はうつ状態のときに医者にかかろうとするので、うつ病との見分けが難しいのだという。
井ノ原「ということは、今でも違う薬を飲み続けている人がいるんでしょう?」
そううつ病の患者が躁状態のときにうつ病の薬を飲むと、気分が急激に高まり衝動を起こす恐れがあるという。では、そううつ病に気づくチェックポイントはあるのか。
木村医師「そう状態、調子のいい時には社交的でテンションが高いとか、浪費するとか、さまざまな人に電話掛けまくるとかで見分けられます」
つまり、周囲が注意深く見ていないとわからないということだ。
「光トポグラフィー検査」治療薬変えたら1か月で劇的変化
橋本有香さん(仮名)は10年前に「うつ病」と診断され薬を飲み続けてきたが、症状は改善されず悪化するばかりだった。「食欲は減るし、気持ちが悪く、絶えず吐き気がして、家から出られなくなった」と言う。
そこで、昨年(2011年)の暮れに、脳内の血液を測る「光トポグラフィー検査」(保険適用外で検査料は1万3000円程度)を受けた。結果はうつ病ではなく、そううつ病(双極性障害)だった。薬を切り替え、1か月で症状は劇的に改善された。橋本さん「手帳を買って、これからの将来を考えられるまでになりました」と手放しで喜ぶ。ただ、光トポグラフィー検査はまだ全国14の医療施設にあるだけだ。
(磯G)