消費税不成立で解散・総選挙!「維新の会」最大与党という怖いもの見たさ

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   <「週刊現代」の名物編集長だった元木昌彦さんが、著書『週刊誌は死なず』(朝日新書=筆者注)で、週刊誌が生き残るための「初心」を記している。「少し品が悪くてやんちゃだが、自分たちが面白いと思ったことには、リスクを考えずに突き進んでいく。権力より反権力。強者より弱者。正義より興味」だと▼大衆の興味に沿い、権力や強者が知られたくない事実をさらす。これぞ真骨頂。ただ、面白さに目がくらむと誤報や名誉毀損(きそん)の危険も増す。訴えられての賠償は「向こう傷」では済まない額に膨らんでいる▼それでも、煙たい週刊誌ジャーナリズムは必要だ。不確かな情報があふれる時代、真実に肉薄するメディアは多様なほどいい。新聞やテレビの監視役もあろう。嫌みな書き方もされるけれど、さらに腕を磨いてほしい。もちろん人権感覚も>

   これは4月2日付けの朝日新聞「天声人語」。「サンデー毎日」と「週刊朝日」が創刊してから90年(卒寿)を迎えたことから、週刊誌について触れている中で、私の著書の言葉を引用してくれている。

   週刊誌の姿勢として反権力、弱者に寄り添うのは当然ではあるが、私の強調したいところは「正義より興味」というところだ。読者が興味を持っていること、疑問に思っていることを、読者に代わって取材し提供してあげる。これが週刊誌を含めた雑誌の原点だと思うが、最近の若い編集者から、読者が興味を持っていることがわからない、自分がおもしろいと思うことが見つからないという嘆きを聞くことが多い。

   雑誌編集者の目線は読者と同じ位置に置けというのは、私が先輩からたたき込まれた基本である。そうすれば自分の興味と読者の興味はイコールであるから、自分がおもしろいと思った事象は必ず読者もおもしろいと思ってくれるはずだ。だが、自分におもしろいと思うことがないのでは、読者を惹きつける記事をつくれるはずがない。この頃の週刊誌を読んでいると、編集者が面白がっていないな、そう思う記事が多く見られる。困ったことだ。

前原誠司政調会長も樽床伸二民主党幹事長代理も当選危うし

   さて、小言はこれぐらいにして、今週の注目記事を紹介しよう。消費税増税を巡って民主党の中も大荒れである。野田佳彦首相は自民党の谷垣禎一総裁を引き込んで「命をかけて」増税路線を突っ走る覚悟を言葉の上だけでは見せているが、小沢一郎元代表に近い議員たちの造反もあり、予断を許さない展開になっている。

   「週刊新潮」は「『消費税国会』の迷走地図」の中で、結局消費税法案は通るのか通らないのかという「素朴な疑問」に答えを出そうと試みている。法案成立の可能性はゼロだといい切るのは政治ジャーナリストの鈴木哲夫。自民党と手を組むことは世論が許さないからだという。全国紙の政治部記者も、谷垣総裁は法案成立と解散はセットと考えているから、野田首相が話し合い解散に応じなければ乗ってこない。惨敗覚悟で解散する勇気など野田にはないから、法案成立の可能性は2%しかないという。

   これに対し、政治評論家の小林吉弥は自民党は前回の参議院選で消費税をマニフェストに掲げていて、どうせ増税するのだから民主党にやらせてしまえと思っている議員が多い。法案採決になれば賛成の方針を自民党は採るというのだ。政治評論家の浅川博忠も可能性が高いと見る。ともに9月に予定されている代表選を乗り切って続投と考えているから、法案を成立させたうえでの話し合い解散で利害が一致するからだという論拠だ。

   どっちなんだとイライラしてくるが、複数の政治部記者や政治ウオッチャーの見方を総合すると、「悲観的な見立てが過半数を占め、約3割しか野田総理の悲願が達成される見込みはない」という結論に至ったそうである。

   「週刊文春」は「さらば、民主政権!衆院選『全選挙区』緊急予測」で、法案不成立になれば野田首相が解散に踏み切る可能性が高いとして、その場合どうなるかを政治広報システム研究所代表・久保田正志と本誌取材班で予測している。結果は民主党が144、自民党が209、公明党が27、みんなの党が5議席から40議席へと大躍進し、大阪維新の会も36議席を取ると見る。

   「週刊現代」は「衆議院48選挙区4800人に本誌がアンケート 橋下『維新の会』近畿地区で全勝!」で、3月27日、近畿2府4県の衆院選全48小選挙区の有権者各100人、計4800人を対象に緊急アンケートをしたところ、すべての選挙区で維新の会が民主党や自民党を抑えてトップになったという。樽床伸二民主党幹事長代理も、前原誠司政調会長も当選が危ういと出ている。結果、この選挙区に全部候補を立てれば、57人を当選させる力が維新の会にはあるというのだから、恐るべきパワーを持った集団である。かりにだが、全国の選挙区に候補を立てることができれば、一気に最大与党になる可能性もあるということになる。怖いもの見たさで、そうしたことが起きてほしい気もするこの頃の永田町の迷走ぶりである。

「収束宣言」しても終息しない福島原発「再事故」の不安

   「『原発収束宣言』は撤回すべきだ!73シーベルトの地獄」は「週刊朝日」おなじみの福島第一原発幹部が語るシリーズである。東電は3月27日に福島第一原発2号機の格納容器内で毎時72・9シーベルトの放射線を観測したと発表した。人間は7ミリシーベルトを浴びると100%死亡するといわれるから、この放射線量は5分46秒で人を死に至らせるものすごい値である。

   フクイチ幹部はこういっている。

「ある程度、高い放射線量は予想していたが、実際に73と言われると、改めて恐ろしさを感じる。メルトダウンした燃料が圧力容器を突き破り、格納容器まで達していることは、これではっきりした。燃料が溶け落ち、その粒子が容器の中をグルグルと回っているのだろう。助かっているのは、温度が50度前後で収まっていることです」

   内視鏡検査で格納容器内の水位がわずか60センチしかなかったことも判明した。毎時9トンもの汚染水はどこへ消えたのか。

「格納容器の下にある圧力抑制室に行った水は地下に流れ込み、果ては地面にしみ込んでいる。事故後すぐに『遮水壁を設けるべきだ』という話になり、設置する予定だった。しかし、いま現在も実現していない」(フクイチ幹部)

   先延ばししているのは予算がないからだという話も聞こえてくるが、カネを惜しんでいる場合ではないと幹部は憤る。周囲への汚染拡大を食い止める方策も打たない政府・東電は、実現の可能性が不透明な廃炉に向けた工程表を発表しているが、高い放射線量のため作業員は近づけないし、これほどの高い線量に耐えられるロボットはないという。

   3月上旬に福島第一原発を視察した自民党の佐藤正久参院議員はこう話す。

「余震で倒壊の危険がある4号機への対応が最優先され、廃炉のことなどとても考えられない。見れば見るほど背筋が寒くなる思いでした。原発事故は『収束』ではなく『終息』させるべきだ」

   4月5日付け朝日新聞が、「東京電力は5日、福島第一原発で放射能汚染水の浄化処理で出る廃液がホースから漏れたと発表した。水漏れは止まったが、排水溝から一部が海に流れた可能性が高いという。漏れた量は約12トンとみている。3月26日にも近くでホースから廃液が漏れた。

   3月26日に漏れた廃液は、放射性セシウムで1リットルあたり1万ベクレル、放射性ストロンチウムなどベータ線を出す物質の放射能総量は1億4千万ベクレル。今回もほぼ同じ濃度とみられる」と報じた。

   原発事故はいまだに収束どころか、いつどうなるかわからない状態を脱してはいないのだ。永田町のサル芝居ばかりに目がいく昨今、地道に原発事故の報道は続けていくべきである。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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