清張記念企画ドジなキャスティング―出だしで読めた「真犯人は石黒賢」

印刷

「松本清張没後20年特別企画 市長死す」(フジテレビ)2012年4月3日21時~

   またもやである。筆者はいつも2時間サスペンスについて、ちょっと名のある準主役級の俳優を犯人役に配するなといっている。出だしから彼(彼女)が犯人だなと読めてしまうからである。推理ドラマで最初から犯人が割れるほど興醒めなことはない。当該作も折角清張没後記念企画なのに、市長(イッセー尾形)が失踪した温泉宿の主に石黒賢が出てきた時から、「ははん、こいつが5億円持ち逃げの、かつての部下だな」と読めてしまったのである。ドジ。
   市議会議員の笠木(反町隆史)は両親を早く亡くし、親代わりに可愛がってくれた伯父の田山(イッセー)が、現役の市長として出かけた先の河原で事故死々体で発見されたのを不審に思い調べ始める。「砂の器」や「点と線」や、あまたある清張作品の、ふとしたきっかけで過去につながる人物の映像を見る展開がここにもある。
   時代を現代に代えているが、過去というのは田山が商社マン時代の中東で起きた革命と、どさくさに紛れて部下が女と一緒に消えた顛末が悲劇の原因となる展開で不自然さはない。不満はあるが、石部金吉の堅物市長が老いらくの恋で愛した食堂の女・芳子(木村多江)を見つけ、「芳子を返してくれ」と夫(石黒賢)に頼むくだりは、男の情念の悲しさを滑稽にあぶり出して説得力はあった。
   何かと揶揄される反町隆史も、地方市議会の議員にしては垢抜けすぎだが、歳を取るにつれて味が出てきて若い頃よりよくなった。

(黄蘭)

採点:1
  • コメント・口コミ
  • Facebook
  • twitter

このエントリーはコメント・口コミ受付を終了しました。

注目情報PR
追悼

お知らせ

電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中