2024年 3月 28日 (木)

食品セシウム「正直表示」裏目…基準値以下の微量でも大量売れ残り

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   福島原発事故以来、日本の消費者にとって、放射性セシウムがにわかに「食の安全」をおびやかす有力物質として急浮上してきた。国の食品のセシウム基準値は4月にそれまでの1キロあたり500ベクレルから100ベクレルへと引き下げられ、厳しくなった。これまでもすでに安全だったのだが、「より一層の安全・安心の確保のため」だという。

「お客さんを裏切りたくない」で始めた独自基準なのに…

   放射能なんてまったく気にしないという人もあれば、東日本のモノは買わないと徹底する人もいる。番組によれば、流通業界では国より厳しい放射能の「独自基準」を定め業者があり、生産者は放射能の表示について頭を悩ませているようだ。たとえ基準値以下でも、できるだけ精密に放射能値を計り、くわしく表示したほうが、安心・信頼につながる――という考え方があるが、現状は必ずしもそうはなっていないようだ。

   岩手県のある食肉加工会社は、100%地元産の素材を使って、無添加の手作りハムやソーセージを製造販売している。こだわりの品質で全国の顧客に支持されてきたという。しかし昨年、仕入れた牛肉からセシウムが検出され、やむなくハンバーグにして販売した。放射能は1キロあたり6ベクレルと微量でもちろん基準以下だが、「お客さんたちはうちを信用してくれてずっと買ってくれているので、もしセシウムの表示をしないで販売をしたら、信用・信頼を裏切ることになる」との思いから、正直に6ベクレルの値を表示した。だが、消費者の反応は冷ややかで、ハンバーグは4割が売れ残り、800キロの牛肉が在庫したままだという。

   栃木の開拓農協は消費者の安全・安心のため、「基準値以内のものは積極的に公表して販売する」戦略を採ることにした。しかし、北関東の中央卸売市場に放射能の数値を表示して出荷したいと伝えると、市場からは「慎重」な答えが返ってきたという。

   開拓農協では「現状では、すべての数字を消費者に伝えることが、本当に消費者にとって不安にならないのかという懸念もある。表示をどうするかはケースバイケースで判断する」としている。

ボンド柳生

NHKクローズアップ現代(2012年4月10日放送「広がる放射能『独自基準』~食の安心は得られるか~」)

姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中