色なしセリフなしの映画に1800円!?観て納得…CG・3Dにない表現の豊かさ

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(c) La Petite Reine - Studio 37 - La Classe Am?ricaine - JD Prod - France 3 Cin?ma - Jouror Productions - uFilm
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アーティスト>舞台は1920年代末のハリウッド。トーキー映画の登場でサイレント映画の大スター、ジョージ・ヴァレンティン(ジャン・デュジャルダン)は時代に取り残され、落ちぶれていく。一方、エキストラだったペピー・ミラー(ベレニス・ベジョ)はトーキー映画に乗って人気女優にのし上がっていく。ジョージに憧れ、彼のアドバイスによってスター女優となるきっかけをもらったペピーは、なんとか彼を銀幕に復活させようとするのだが…。

   監督はフランス人のミシェル・アザナヴィシウス。今年のアカデミー賞で、作品賞、主演男優賞、監督賞など5部門を受賞した。

他愛ないメロドラマに仕立てた監督の仕掛け

   CGや3D全盛期の昨今に、なぜあえて白黒のサイレント映画なのか。いくらアカデミー賞受賞作品とはいえ、観賞料1800円も払って観に行くのはちょっと勇気が必要だった。結論を言えば、これこそ映画館で観るにふさわしい映画であった。セリフもない色もない映画がこんなに面白いのかという驚きと満足感で映画館を後にした。

   ストーリーは言ってしまえば他愛のないハッピーエンドのメロドラマである。出演者は少ないし話の筋も単純だ。ただ、これは監督がサイレント映画を徹底研究したうえで、意図的にしたことなのだという。たしかに、近ごろの映画やテレビドラマがセリフでなんでも説明してしまうのに比べ、役者の演技に集中することができ新鮮だ。セリフがないことで大いに想像力をかきたてられ、登場人物たちに感情移入できる。このくらい単純明快なストーリーがちょうどよいと感じる。

   サイレントだったはずが、ジョージの夢のシーンだけはトーキーになるなどの細工も面白い。気になるのは、過去のハリウッド作品へのオマージュと思われる場面が多く出てくるので、これをよしとするかは観た人次第。古いハリウッド映画に詳しい人は、この演出がかえって鼻につくかもしれない。

ごまかし効かない演技…力量試される役者たち

   セリフがないということは、役者にとっても演技にごまかしが効かなくなるということ。その点でも見どころの多い映画である。とくにジョージを演じたジャン・デュジャルダンの表現の豊かさは抜群で、コミカルなボディーランゲージとコロコロとかわる表情(なかでも茶目っ気たっぷりの笑顔は最高!)には、ここ最近観た映画にはない興奮を覚えた。さらに、ジョージの愛犬を演じたジャック・ラッセルテリアのアギーも、この映画で第64回カンヌ国際映画祭パルムドッグ賞を受賞しただけのことはあり、聞きしに勝るすばらしい演技力。スクリーンを大いに盛り立ててくれている。

   とにかく映画館で観ないと本当にもったいない作品。「DVDで…」などと言わず、ぜひ映画館の静かな暗闇の中で観ることを強くおススメする。

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おススメ度:☆☆☆☆☆

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