2024年 4月 25日 (木)

高速バス会社「安全よりコストダウン」飲酒運転もチェックせず

   関越自動車道の高速ツアーバス事故で、キャスターの国谷裕子はバス運行会社の杜撰さに呆れながらこういう。「この運行会社には36件の違法行為があり、事故を起こした運転手の河野化山容疑者から事前に1人で行くことの不安も訴えられていました」。河野は日雇い運転手で給与は1日1万円。運行会社の社員は社長だけで、日常業務は社長が1人で対応していた。

   国谷「2000年にバス業界でも規制緩和が行われ、激しい価格競争が始まりました。人件費を切り詰め、安全よりもコストダウンが優先する風潮が強まりました」

監査・指導受けても1か月後には元通り

   ゲストの安部誠治・関西大学教授は「5年前のスキーツアーバス事故で、運転手の過労防止を取るようにという国からの指導が始まりました。しかし、その効果はまだ現れていません。飲酒運転に関しても十分なチェックが行われていないのが現状です」と恐ろしいことを言う。ベテランバスドライバーは「長時間の1人だけの運行は睡魔との戦いになる」という証言する。国谷は「国土交通省はバス会社への監査を行っているはずですが、その監査はきちんと行われているのでしょうか」と安部教授に聞く。「監査は1か月前に通告されます。でも、監査による指導を受けても1か月後には元に戻っています。バス会社は全国で400社以上あり、これらの会社を同時期に監査するというのは事実上無理で、名義貸しの会社もあり、監査がしっかりと行われているとは言えません」

国交省の監査そのものが抜け穴だらけ

   国谷「2年前に、1日の運転距離限度670キロメートルを総務省が見直すとしていましたが、まだ見直し作業が始まっていないのはなぜでしょうか」

   安部教授「監査は安全対策の入口ではありません。監査体制そのものを見直さないと高速バスの安全管理は保たれません」

   バス運行会社は規制の抜け穴を探し、事故が起きて規制が強化されると、また抜け穴探しというイタチごっこということなのだろう。小泉改革で緩めた「届出制」を「認可制」に戻し、悪質な業者はつぶすことも必要なのではないか。

ナオジン

NHKクローズアップ現代(2012年5月7日放送「検証 高速ツアーバス事故」)

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