「生涯一助産師」日本最高齢88歳―取り上げた赤ちゃん4000人

印刷

   助産師歴68年、取り上げた赤ちゃんは4000人、88歳でなお現役という日本で最高齢の助産師がいる。和歌山県田辺市で開業する坂本フジヱ助産師の自宅兼助産所には、こんな看板が掲げられている。「年中無休」と書かれた次に、「正常分娩取扱」「産褥入院」「母乳相談」「育児相談」「安産教室」「思春期相談」「家族計画指導」と続いている。

   この助産所には、出産や育児に不安を抱える妊婦や母親たちが引きも切らず、「ホンマは隣に引っ越してきたいくらい」「もやもやしていたことがスーとする。消えていくんです」と話す。そして、ここで出産した母親たちは口々にこういう。「もう1度ここで産みたい」

「さあ、お産が始まるで。潮満ちてきたら産まれる」

   ある日、予定日を過ぎた妊婦から「陣痛が始まった」という電話が入った。「さあ、お産が始まるで」とおばあちゃん助産師は哺乳瓶の消毒などの準備を開始。そして、あることを新聞で確認するのを忘れない。「昔から言うんですよ、『潮満ちてきたら(満潮になったら)産まれるで』って」

素晴らしい

   陣痛で悲鳴をあげる妊婦がやってきた。痛みを少しでも和らげるため腰をマッサージする。陣痛の間隔が短くなり、妊婦を分娩台に移しいよいよ出産。

   2時間後、「オギャー、オギャー」と元気に出てきた赤ちゃんを母親が両手で受け取る。「自分で受け取ったらものすごい気分ええやろ」というおばあちゃん助産師の言葉に、母親が笑顔でうなずく。2676グラムの女の子だった。

   でも、助産師の仕事はまだ終わらない。無理ができない母親の代わりに赤ちゃんの世話。深夜にオムツを替え、お腹の空いた赤ちゃんに母乳を与えるために母親のもとへ。就寝したのは午前4時過ぎだった。ところが、朝6時には起き出して、母親のために栄養たっぷりの朝食を作る。どの母親も「実家に戻った気持になる」という。

「神から与えられた天職のような気がします」

   そんな激務がきつくなった72歳の時、さすがに引退を考えた。「解放されて旅行でもして暮らそうと思った」という。しかし、ある講演を聞いていて気持ちが変わったという。

「『本当に何もせんと、赤ちゃんとお母さんの力でこの世に誕生した子どもはものすごく違うんですよ』って、『どうぞ1年に一人でもいいから目のキラキラ輝く子どもをこの世に取り上げて下さい』って。神から与えられた天職のような気がしました」

   司会の羽鳥慎一は「いや~素晴らしい」と感激している。タレントの松尾貴史は「元気でいられるのは4000回も感動していられるからでしょうかね」

   このおばあちゃんの助けで、健康な母体から元気な赤ちゃんを産みたい。男にはできないが、そんな気にさせるおばあちゃん助産師だった。

文   モンブラン | 似顔絵 池田マコト
  • コメント・口コミ
  • Facebook
  • twitter
コメント・口コミを投稿する
コメント・口コミを入力
ハンドルネーム
コメント・口コミ
   

※誹謗中傷や差別的発言、不愉快にさせるようなコメント・口コミは掲載しない場合があります。
コメント・口コミの掲載基準については、コメント・口コミに関する諸注意をご一読ください。

注目情報PR
追悼
シニアの健康ライフ
Slownetからのおすすめ記事(提携)

お知らせ

電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中