大御所タレント処世訓「万人受けダメ。強烈に嫌ってくれる人作れ」

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   2人をつないでくれた想い出の曲なのと彼女は言っていた。いま、どのラジオ局をつけても必ず流れてくるベスト盤2枚を発表したミスチル。どの曲を聞いても、当時嬉しそうに話をしていた彼女の顔を思い出す。社内で気になる人だった彼と、飲み会でミスチルのファンだったことがきっかけで2人は結婚した。当然、盛大な披露宴でもミスチルの曲はかかっていた。たしか、司会者もBGMについて、2人にとってかけがえのない曲ばかりを選んでいると強調し、みな苦笑いしたものだった。

   ところが、その苦笑いはそのうち笑えなくなった。2人は意見の違いからすぐに離婚したのだ。ミスチルの曲を聞いて、これから来るであろうさまざまな苦難を乗り越えて行こうと誓ったのに…。彼女はいま、大量にOAされている曲の数々に耳を塞ごうとしているのかもしれない。

国民的歌番組プロデューサー「みんなが支持する曲ヒットしない」

   ミスチルは活動20年で余りで多くのヒット曲を生み出している。けれど、垂れ流しを聞く程度の人間には、どれも似ているように感じてしまう。そのことを話したら、彼女にこっぴどく叱られた。そして、幸せだった時期を顧みながら、彼らの素晴らしさを懇々と説明してくれた。彼女にとってミスチルは人生の一部だったのだ。

   それにしても、人々の人生に痕跡を残していくヒット曲はどうやって生まれるのだろう。国民的歌番組のプロデューサーはきっぱりと言った。

「ヒットの法則なんてありません」

   10年、20年、30年と時代を越えて愛され続ける曲をいくつも生み出した人だ。取材を受けることも多く、その時に必ず聞かれると言う。

「どうやったらヒット曲って生まれるでしょうか」

   その問いに必ずこう答えている。

「そんな法則はない。もし見つけられていたら、さっさと退職して自分の会社を作っているよ」

   けれどやっぱり気になる。いったいどうやったらヒット曲は生まれるのか。プロデューサーはいたずらっぽい目をしてこう付け加えた。「法則はないけれど、後から考えてみれば、ヒットとなった曲には誕生時に何かしらの共通点があった」

   それは、イチかバチかの作品。制作時に会議で10人いたら9人反対するもの。ところが、1人が強烈にやりたいと主張した作品はなぜかヒットする。なにか1点でも突きぬけて、その作品に死んでも手掛けたいというほど惚れ込んだ人物がいれば…、当たる。会議で半数が「いいんじゃない」と言ったものでヒットしたものはこれまでないそうだ。みんながいいと思うものは、世の中に出した時に歓迎されないそこそこの作品になってしまう。そうして星の数ほど曲が生まれては消えていくのだ。

「誰にも受ける芸はすぐに淘汰されて、人々の記憶にも残らない」

   どうやらそれは、芸能界にも通じる話であるらしいと知ったのは、番組打ち上げの席でのこと。会の中心は番組MCの大御所タレントさんだった。

   「芸能人は万人に受けようとしてはダメ。自分のことを強烈に嫌う人を作らないとダメ。反面、強烈に自分のことを好きになってくれる人が必ずいる。誰にも受ける芸はすぐに淘汰されて、人々の記憶にも残らない」と後輩に言い伝えている話をしていた。その後輩は、こう教えてくれた大先輩に嫌われないようにと工面する。テレビ番組でも数多く紹介される芸能人同士の仲良しグループなどもそうだと思う。

   番組制作陣とて同じ。大御所に媚びては裏では陰口を平然と言ったりもしている。ヒット曲を飛ばしているプロデューサーは言っていた。

「原則としてフェアな立場でいること。どんなに大物だろうと作品が悪ければ企画は採用しません」

モジョっこ

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