粛清・追放の嵐?薄煕来失脚で始まった中国むき出しの権力抗争

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   中国・重慶市のトップを務め、中央でも政治局委員に選出されるなど、カリスマ的な存在として人気を誇っていた薄煕来が突然更迭・失脚した。妻のイギリス人ビジネスマン殺害容疑や職権乱用した汚職などさまざまな疑惑を報じられ姿を消した。

   キャスターの国谷裕子は「中国共産党がいま空前の政治スキャンダルに揺れています。中国共産党の歴史の中でも、これほどのスキャンダルはありませんでした。中国と中国共産党はこの困難をどう乗り越えるのか。世界中が注目しており、権力闘争の知られざる舞台裏を迫いました」と伝えた。

   中国では今秋、第18期党大会が開催され、党中央政治局常務委員が大幅に入れ替わる。薄煕来の失脚はこれと深く関係していることは間違いない。きっかけは薄の側近だった王立軍公安局長が成都市の米国総領事館に駆け込んだことだった。

   国谷「公安局長の亡命という異例の事件の監督責任が問われ、さらに薄氏の妻・谷開来が商売相手だったイギリス人の殺害疑惑で逮捕されましたが、薄氏は妻を擁護。疑惑は深まるばかりでした」

改革開放経済の陰に広がる格差拡大への不満

   ゲストの興梠一郎(神田外語大学教授)はこう解説する。「薄氏は格差是正を目指す独自の経済政策を掲げ、革命歌を歌い毛沢東時代を回顧するイベントを開くなど、大衆に絶大な人気を得ていました。しかし、こうした動きが逆に経済改革を進める政府中枢に警戒されたようです」

   薄煕来ももともとは改革開放派だったが、常務委員ポストをめざす派閥抗争に敗れ重慶に飛ばされると、一転して改革経済からこぼれ落ちた「弱者」を重視する政策に転換、大衆運動を組織して中央批判を強めていった。北京政府はこれを毛沢東時代の「紅衛兵運動」の悪夢ととらえ、一気につぶしにかかったというのが真相だろう。

   国谷「今後、共産党や政府はどのような舵取りをするのでしょうか」

   興梠教授「中国では依然として共産党の独裁体制が続いています。政治にも経済にも強い影響力を持っている。格差の拡大や、民主化を求める声の高まりなど、?今の中国では民衆が強い不満を抱いています。?この独裁をやめ、民衆に解放できるかどうかです。もし失敗すれば、持つ者と持たざる者の格差は広がるばかりでしょう」

文・ナオジン

*NHKクローズアップ現代(2012年5月21日放送「揺れる中国 権力闘争の裏で何が」)

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