椎名桔平「過去引きずる刑事」見応え…巧みな冤罪復讐ドラマに残念な人権無視

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「灰色の虹」(テレビ朝日)2012年5月19日21時~

   貫井徳郎原作のサスペンスで監督が「相棒」の和泉聖治、椎名桔平久々の主演で見ごたえある2時間ドラマになった。冤罪で6年間も牢屋に入れられていた江木雅史(塚本高史)が、出所してから次々に冤罪に関わった人を殺してゆく話と聞けば、ありきたりの復讐譚に見えるが、作家の洞察力で一味違った人間ドラマになっている。
   交通事故で殺される所轄署刑事の伊佐山(寺島進)、刺殺される地方検察庁検事の谷沢(渡辺いっけい)。この連続殺人を捜査する捜査1課刑事の山名省吾(椎名桔平)自身が、かつて婚約者を理不尽に殺された体験者で、現在は伊佐山と組んで事件の捜査に当っていたのである。被害者家族の心の内の復讐心も理解できる山名は、この連続殺人に過去の怨恨の影を感じるのだ。
   続いて当時の裁判官(大杉漣)も刺殺された上で橋の欄干から墜落させられる。最後は当時の裁判で「犯人を見た」と証言した男(高嶋政伸)だが、彼は危ういところで助けられる。視聴しているわれわれは、既に冤罪のプロセスを知った後なので、復讐を遂げさせてやりたい思いまでする。つまり、巧みに成り行きが描かれている証拠である。それにしても寺島扮する刑事の自白強要シーンや、目撃者の証言のいい加減さが見過ごされる場面など、あまりにも杜撰、かつ、人権無視で、実際に斯様な裁判があるのかと驚く。裁判員裁判はこの点でもいい方向に作用しているのではなかろうか。

(黄蘭)

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